2024年6月号記事

ラッファー博士インタビュー Part3

円安志向と保護主義では日本は復活できない

再分配をやめないと日本円は暴落する

円に対する信頼を回復させるには何が必要か。サプライサイド経済学の父であるアーサー・ラッファー博士に話を聞いた。(最終回)

トランプ前大統領の経済顧問

アーサー・B.
ラッファー博士

アーサー・B.ラッファー
(Arthur B.Laffer) 1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』『「大きな政府」は国を滅ぼす』(幸福の科学出版)などがある。

「大きな政府」は国を滅ぼす.jpg

──円安の原因は金利差にあると指摘する人もいます。博士はこの点を、お考えでしょうか?

ラッファー博士(以下、): それは違いますね。金利差はインフレと金融政策の結果であり、原因ではありません。

金利について理解しておかなければならないことが2つあります。

これは経済学者のロバート・マンデルが非常に短い論文で述べていることですが、とても重要なことです。債券の利回りが6%の1年債があるとします。今後1年間の名目資産利回りは、6%になると市場が予想しているということです。

この6%には2つの要素が含まれています。1つはインフレ率で、物価上昇率です。もう1つは資本に対する実質リターン(利益率)です。ある投資をした場合、その投資の実質リターンが3%だとすると金利は3%になります。これに加えて、3%の物価上昇率が見込まれるとすれば、併せて6%になります。つまり金利とは、満期までの期間(この場合は1年間)に期待される名目利回りのことです。期待される資本の実質利回りと期待される物価水準の上昇率という2つのものから構成されるのです。

 

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