2022年4月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 21

台湾防衛で血を流す覚悟が、日本にあるか?

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

元海上自衛隊
自衛艦隊司令官

山下 万喜

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(やました・かずき)1960年、熊本生まれ。防衛大学校27期。第1護衛隊群司令、海上幕僚監部防衛部長、海上自衛隊幹部学校長、佐世保地方総監などを歴任。

日本の政治家やメディアなどが台湾有事を取り上げる頻度を増やしています。背景には、米国の前インド太平洋軍司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性」に言及したこと。菅前首相が昨年4月にバイデン米大統領と会談した際、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことで一致したことなどがあります。

米中が対立を深める中、「中国が台湾に侵攻すれば、日本は巻き込まれる」という印象が広がっています。しかし、そこには「日本に降りかかる火の粉は自ら振り払う」「同盟国の米国としっかりと連携する」といった着意はあっても、台湾との関係や、台湾の何が重要なのかに関する国家としての主体性や戦略性が見受けられず、違和感を覚えます。

安全保障の分野で戦略的な視点が欠けていると、日本は米国とのお付き合いで台湾問題に関わっているようにすら見えます。