《本記事のポイント》

  • 尖閣に押し寄せる海上民兵は、人民解放軍の支援を受けている
  • そもそも、日本は憲法9条のせいで奇襲に弱い
  • 国内の親中派が法整備の邪魔をする


政府は25日、自民党国防部会・安全保障調査会の合同会議で、中国の海警局の船が尖閣諸島への接近・上陸を強行すれば、凶悪犯罪と認定して、海上保安庁は相手の抵抗を抑える「危害射撃」が可能になる場合があると説明した。

中国の海警船への対応として、「正当防衛・緊急避難」以外で危害射撃ができると政府が説明したのは、今回が初めてだ。尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す海警船に対し、海保の武器使用の範囲を明確にした形となった。

現行の制度では、海保で対応できない場合、政府の閣議決定を経て、海上警備行動を発令し、海上自衛隊が投入されることになる。その際、海保法が適用されるため、今回の海保法の解釈変更で海自も「危害射撃」が可能になると見られている。

度重なる中国海警の船の尖閣諸島周辺の領海侵犯に対して、「危害射撃」を辞さないとの態度を示すことで、政府は中国側をけん制した。

自衛隊を国防軍にする「憲法改正」から政治家は逃げるな!

ただ、海保の武器使用の範囲を明確にしても、尖閣は防衛できないところまで事態は深刻化している。

尖閣に大挙して押し寄せる中国の海上民兵は、人民解放軍のミサイル艇や軍艦、地対艦ミサイルなどの支援を受けている。この事態を想定した法整備を議論すべきであるのに、それがなされていない現状を見ると、政府は中国が尖閣を侵略する際の戦力を甘く見積もっていると言わざるを得ない。

そもそも、憲法9条により、自衛隊は奇襲攻撃に弱く、身動きも取りづらい。防衛出動を発動する要件も厳しく、それをするにも時間がかかる。防衛出動命令が出るころには、尖閣に上陸されていたという、目も当てられない光景が展開するかもしれないのだ。

加えて、気掛かりなのは、海保や自衛隊が中国の民兵に対処しようとした際に、国内の親中勢力がそれを妨害する恐れがあることだ。過去にも、2012年に香港の活動家が尖閣に上陸した際、罪を問わず、すぐに中国への強制送還で済ませた"実績"がある。つまり、現場の隊員が尖閣を守りたくても、日本の政治家が先に中国に対して白旗を上げることが起きかねない。

今回の法律解釈は、海保の武器使用を明確化し、隊員が事態に対処しやすくなったという意味では評価できる。だが、それがなされたとはいえ、現状の戦力や法整備で、中国の物量作戦を前に、尖閣を防衛できるのかという根本的な問題は置き去りにされたままである。議論すべきは、自衛隊を国防軍に変える憲法9条の改正であり、そこから政治家は逃げてはならない。

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