米紙ワシントン・ポスト(7日電子版に、元ニューズ・ウィーク国際版の編集長ファリード・ザカリア氏が"Egypt's real parallel to Iran's revolution"と題して、コラムを寄せている。多くの論者がイラン革命と類比するのをやめるなか、ザカリア氏は、イラン革命と最後に類似してくるさまを述べている。では何がreal parallelなのだろうか。

・まず、彼は、多くの保守系の政治家が恐れているように、イランとエジプトはいろんな意味で違うのだから、今回のエジプトの革命が1979年のイラン革命のようにはならないとする。

・だが米国人は「恐れ」から、本当の問題が見えなくなっているとして、それを軍事独裁であるとする。

・内閣のメンバーの半分、知事の約8割が軍人出身であり、非常事態法や軍事裁判所の支配下にあることを忘れてはならない。

・多くのコメンテーターが、エジプトの状況がトルコに似てくる可能性を指摘する。

・だが、トルコでは、EUが同国に対して、政治から軍の力を取り除くよう執拗に求めた結果、文民統制が実現したのである。よって、エジプトの危険は、権力を軍人が有する見せ掛けだけの民主国家(a sham democracy)「パキスタン」のようになることだ。

・ムバラク大統領からの政権交代ばかり取りざたされているが、実際は彼が統治していたすべての統治システムを移行しないといけない。

・また米国は、ムバラクの軍事独裁を支えてきたのは米国であるというエジプト人の認識を共有しておく必要がある。

・民主的なプロセスによって、より強硬で宗教的でかつ暴力的な政党が、政権につく可能性も長期的にはないわけではない。そのときこそイラン革命を起こした勢力と、今回のエジプト革命の勢力とが、類比(parallel)されてしかるべき事態になる。

今回の政権移行の鍵は、軍部であるとする識者の声が多い。

チャールズ・クラウトハマー氏(2月4日付電子版ワシントン・ポスト紙)は、公正な選挙の鍵を握るのはエジプトでもっとも信頼のおける機関である軍部だとする(編集部注:総兵力48万8500人の軍は米軍と密接に連携をとり訓練してきた)。

今後を左右する軍部の思惑からも目を離してはならないだろう。(HC)

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