エジプトで反政府デモが拡大していることを受け、前週末に米株式市場が急落し、欧州や新興国の株式相場も下げた。投資家のリスク回避により、資金が株式から米国債などの比較的安全な資産へ流れているためだ。

いわゆる「有事のドル買い」とも言えるが、米国債が買われ続ければ米金利は下がる。そこで次に資金が集まると見られているのが「円」だ。外国為替市場では、このまま行けばドル売り・円買いが進み、円高になるとの見方が強い。事実、先週末のニューヨーク市場では円相場が上昇している。

対外債権国である日本の円は安全通貨と見られ、「有事の円買い」が行われているのだ。これは日本が国際社会から政治経済的に安定していると見られ、信頼されていることを示している。この期待に応え、日本は国際社会においてさらに影響力を増すべきだ。

菅首相は29日、ダボス会議でエジプトのムバラク政権について、「多くの国民と対話して国民が広く参加する政権をつくり、市民生活の平静を取り戻すよう期待している」と述べたが、米国に有利に動くムバラク政権の独裁を見逃してきた米国に対しても批判すべきは批判し、中東の民主化に向けてより一層大きな役割を果たすべきではないだろうか。(由)

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