世界的に進む宇宙開発の陰で大きな問題になっている「宇宙ゴミ」。人工衛星の残骸などを長さ数キロの「ネット(網)」で捕獲(?)して、大気圏中で燃やしてしまおうという試みが、広島の老舗漁網メーカーと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の間で進められているという(asahi.comより)。

宇宙という公共スペースを「掃除する」という、いかにも日本的で微笑ましいニュースであると同時に、最先端の宇宙技術と日本の老舗メーカーがコラボするという日本の強みを感じさせる内容だ。その老舗メーカーというのが、昨年創業100年を迎えた日東製網( http://www.nittoseimo.co.jp/ )だ。もともと結び目なしに編み上げる丈夫な「無結節網」(むけっせつあみ)の製造機を世界で初めて発明したという同社製の網は、ヒモが交わる部分に結び目がある網よりも切れにくい上、漁船の上で折り畳んでも軽く、かさばらないなど画期的な網。この網で国内シェアの半分を占める。現在も定置網漁や底引き網漁など漁業に幅広く利用され、マグロ養殖用の網なども海外に輸出しているという。得意な分野に特化し、誰もマネできないくらいまで極める。こうした企業は不況にも強いのが特徴だ。創業100 年以上の「長寿企業」は全国に1800 社を超えるという。これは世界的にみても誇れる内容といえよう。

イタリアにも「ラ・レーテ」という「ネット(網)企業」があるが、ここはサッカーやウィンブルドンなど、「スポーツ関連ネット」というカテゴリーに特化したことで、いまや世界的メーカーとなっている。

両社に共通して言えることは、衰退産業であろうとも工夫と技術で新しいカテゴリーを切り開いたことだ。それも他社と同じ土俵ではなく、独自の土俵を創造したこと。日本もアメリカ型ビジネススタイルだけではなく、ヨーロッパ型ビジネススタイルも参考にしながら、日本独自の新しいビジネススタイルを構築していく必要がある。(K)

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