12 日、イスラム教シーア派とスンニ派の宗教対立が続くレバノンで、シーア派最大の政治・軍事組織ヒズボラの閣僚ら11人が一斉に辞任し、スンニ派のサード・ハリリ首相率いる両派連立政権が崩壊した。

レバノンでは、国内のシーア派とスンニ派の対立、ヒズボラとイスラエルの対立に加え、ヒズボラを支援しているとされるシリアやイラン、スンニ派に影響力を持つサウジアラビア、イスラエルを支援しつつ中東和平を目指す米国などの影響が複雑に絡み合う。

ハリリ政権は、 09年のレバノン国民議会選挙に勝利した新米反シリア派連合と、ヒズボラなど反米親シリア派連合が連立したものだった。しかし、05年に起きたハリリ首相の父ラフィク・ハリリ元首相の暗殺事件について、レバノン特別法廷でヒズボラ関係者が訴追される観測が強まったことで、訴追を支持する首相とヒズボラの対立が深まっていた。

政権崩壊時、ハリリ首相は訪米してオバマ大統領と会談中で、特別法廷支持で一致していたため、これにヒズボラが強硬手段で反対を示した形だ。オバマ大統領はヒズボラを非難し、ハリリ首相に対し特別法廷の調査の重要性を強調した。

今後、レバノンではスレイマン大統領が新首相を任命することとなっており、ハリリ氏が再任命される可能性が高いが、ヒズボラとの対立は武力衝突にも発展しかねない緊迫した状況となっている。(由)

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