台湾の馬英九政権が、歴史の教科書を「中国寄り」に改定させようとしていることに対して、「中国史観だ!」と反対する高校生らが7月31日、教育部(文部科学省に相当)の敷地内に侵入、座り込みを行ったことを各紙が報じた。

学生らは、改定の撤回と呉思華・教育部長(文科相)の辞任を求めており、抗議には最大で500人が参加したという。

今回の改定は、今月1日から施行され、9月の新年度の教科書に反映される予定だ。改定では、中国と台湾の結びつきが強調された内容となる。例えば、明の滅亡後の鄭成功一族による統治時代は、「鄭氏統治」から「明鄭統治」と変更され、明代からの関わりを強調。日本の統治時代の記述は、「日本統治」から「日本植民統治」となる。

また、台湾を訪れた孫文が支持を求め、台湾人が革命と中華民国建設に関わったとの記述も加わり、第二次大戦中の台湾の抗日運動についての項目も新設。大陸から渡ってきた国民党による統治時代は、人々の所有物を取り上げるという意味の「接収」から、祖国復帰の意味の「光復」に変更された(7月27日付毎日新聞)。

現在の台湾の繁栄は、日本統治の影響が大きい

しかし、現在の台湾の繁栄は、日本が統治時代(1895~1945年)に行ったインフラ整備や教育の上に築かれた、という歴史的な事実をねじ曲げてはならない。

日本は当時、現在の価値で60兆以上の資金を台湾に投じ、鉄道や道路、ダムや下水道の建設やコメの増産、医療制度の整備などを行った。日本統治の50年間で、台湾の歳入は約8.4億円(87倍)となり、初等教育の就学率も約7割(35倍)に急増した(本誌2015年4月号「 検証 日本の統治 vs. 欧米の植民地 アジアを繁栄させた日本 」参照)。

また、日本が台湾に派遣したのは、日露戦争で活躍した軍人の児玉源太郎や乃木希典、教育者の新渡戸稲造、東京市長として都市計画をつくった後藤新平など、総理大臣が務まるほどの人材たちばかり。当時の日本が、同じ国として台湾を繁栄させようと熱意を持っていたことがうかがわれる。日本は他のアジア地域でも、その土地の人々の幸福を願って統治に励んだ。戦後、台湾や韓国が民主主義国として発展したのは、そのためだ。

それと比べて、ヨーロッパ列強の植民地支配は過酷なものだった。何百年もの間、アジア・アフリカ諸国を植民地化にしてきたが、人々の幸福は考えず、資源を収奪して母国で消費することだけを考えていた。そのためイギリスやインドを約150年、オランダはインドネシアを約350年間支配し続けたが、その間、両国は全く発展しなかった。日本の「統治」と、列強の「植民地支配」は、明らかに異なる。

親中派の馬英九総統は、中国の立場に立った歴史観で、歴史の捏造に加担しようとしている。これに対し、台湾の学生たちが、正しい歴史認識を求めて抗議する姿勢を、現在の日本人は見習うべきだ。

日本の天皇は建国以来、125代も続いており、各時代で世界最高レベルの文化をつくってきた高みを持つ。台湾の学生を政治的、精神的に支えるためにも、日本人は「日本は素晴らしい国だ」という自信と誇りを取り戻し、正しい歴史観を発信していく必要がある。(泉)

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