政府は21日、日本の防衛計画の方向性を示す、2015年版の防衛白書を公表した。

今回の防衛白書では、今年起きた「イスラム国」による日本人人質殺害事件を受け、日本はテロの脅威と無縁ではないことが記述されるなど、日本を取り巻く国際情勢がいっそう厳しさを増していると警告されている。

今年は中国の記述が増加

中でも注目すべきは中国に対する記述の増加だ。

今回の防衛白書について、自民党国防部会の佐藤正久参院議員は7日、中国の活動に対する記述の少なさから、異例の了承見送りを行っていた。このことからも、政府の中国に対する危機感が見て取れる。

防衛白書では、中国の国防費が27年間で約41倍になったことなどを例に上げ、軍事覇権を強める中国を「高圧的」と表現。同国が南シナ海の南沙諸島で大規模な埋め立て活動や、ガス田開発を一方的に行っていることなどを批判している。

一方、中国側は、日本が中国脅威論を誇張していると、強烈な不満と反対の意を表明。ガス田開発についても、中国の管轄海域での活動で、完全に正当性があると反論している。日本政府に対して、「日本国民をミスリードし、中日関係改善に障害をつくりだすことをやめなければならない」「南シナ海の平和と安全を破壊すべきではない」などと主張している(22日付時事通信、産経ニュース)。

「真の平和」と「奴隷の平和」を見分ける

平和という言葉には多義性があると実感させられる。

中国が主張する「平和」は、"中国共産党にとっての平和"にすぎない。体制を維持するために、言論の自由などの基本的人権を弾圧され続ける。自国民を事実上の奴隷にした上に成り立つ「平和」であり「秩序」だ。

これと通じるのが、安保法制に反対している勢力の考える「平和」だ。彼らは、「戦わないことが平和」「日中関係の友好が平和」と考えている。そうした「平和」のお題目を追い求め、充分な抑止力を持たなければ、"戦わずして"中国に飲み込まれてしまう。

中国の言う「平和」と左翼の言う「平和」は、同じ結果を生む。人々の自由が奪われた「奴隷の平和」だ。

真の平和は国民の自由が守られて初めて実現する。中国の脅威という現実を受け止め、安保法案の成立など、国防体制を強化することこそ、「真の平和」につながる。(冨)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『左翼憲法学者の「平和」の論理診断』 大川隆法著

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