京都弁護士会に所属する南出喜久治弁護士がこのほど、日本弁護士連合会(日弁連)や弁護士会が発表する声明は、特定の政治的主張に当たる違法行為であるとし、日弁連の会長などを提訴した。産経新聞(1日付電子版)が報じた。

記事によれば、南出弁護士が問題視するのは、日弁連が6月18日にホームページ上で発表した「安全保障法制改定法案に対する意見書」などを含む15の声明。南出弁護士は、弁護士が弁護士法により、日弁連と弁護士会に強制加入させられる現状を指摘した上で、「日弁連は特定の主張を表明する政治団体になっている。主張したいならば、強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意団体を作ってやるべきだ」と述べたという。

オスプレイ、集団的自衛権、従軍慰安婦も批判する日弁連

日弁連はこれまでも、左翼色の強い政治的主張を繰り返してきた。6月には「CV-22オスプレイの横田基地配備の中止等を求める会長声明」を、京都弁護士会は5月に「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に基づく法整備に断固反対する会長声明」をそれぞれ発表するなどして、安倍晋三政権を批判。政治的中立性を軽視する姿勢により、日弁連は「左翼系政治団体」との批判を浴びている。

特に問題なのは、1992年から、いわゆる従軍慰安婦問題を国連人権委員会にわざわざ持ち込み、対日非難を行ったことだ。当時の会長である土屋公献氏は「日弁連が国連において、慰安婦を性的奴隷として扱い、国連から日本政府に補償をおこなうように働きかけた」と語り、組織として日本政府を追及する姿勢を表明。その結果、93年に「性的奴隷制」(Sex slaves)という造語が「国連の用語」になった。現在も日弁連は、"人権擁護"との理由から批判的な立場を崩していない。

日弁連の会員は約3万6000人(6月1日時点)で、強力な圧力団体の一つになっている。そうした組織から発される声明が、執行部の都合によってつくられ、弁護士界の"総意"となるのは問題と言わざるを得ない。

護憲派の日弁連ならば、憲法が保障する「思想・良心の自由」を振り返り、会員の自由を守るべきではないか。(山本慧)

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2014年10月号記事 国連は左翼言論の独壇場になっていた!―ジュネーブ・自由権規約委員会「従軍慰安婦」への賠償を勧告

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8320