韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染の被害が拡大している。院内感染などで現在108人の感染と9人の死亡が確認されている。朴槿惠大統領のアメリカ外遊の延期や外国人観光客の渡航中止、外出自粛による経済成長率の見通しの悪化など、さまざまな影響が出ている。

2012年に中東で発見されたこのウイルスは、それほど感染力が強くないとされており、また、ウイルスそのものは今のところ変異が起きた様子はないという。にもかかわらず、韓国はサウジアラビアに次ぐ感染者数を出してしまっている。

その理由の一つとして、朴大統領の対応の不手際が挙げられている。昨年、300人以上の死者を出したセウォル号沈没事故でも、事件当日に7時間も不在だったなどの問題点が指摘されており、その反省が生かされていないという声が相次いでいる。

また、感染症被害の拡大は天災と同じように、為政者に徳がない時に起きると言われている。

韓国は今、日本がユネスコ世界文化遺産への登録を申請している「明治日本の産業革命遺産」について、しきりに文句をつけている。朴大統領がユネスコ事務局長に直談判するほどの熱の入れようだ。

しかし、「明治維新」で日本が手にした近代技術は、韓国もその恩恵を受けているものだ。韓国は今、医療大国として打ち出しているが、近代医学医療制度を朝鮮半島に本格的に導入したのは、朝鮮併合時代の日本だ。検疫・検疫体制を整え、上下水道を整備するなどして疫病の流行を止め、1910年から1944年の間に、平均寿命を25歳から45歳に伸ばしている。

こうした事実に対して感謝することもなく、一方的に文句をつけてきていることも、徳を減らしている原因と見てよいのではないか。朴大統領が正しく歴史を認識して感謝することで徳が生まれれば、今回のMERS感染拡大は終息に向かうかもしれない。(居)

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