国連の常任理事国入りを目指して日本、ドイツなど4カ国が、安全保障理事会の改革案を提出したことを、このほど、朝日新聞が報じた。

記事によると、日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国は、現在15カ国の安保理の構成国を25~26カ国とし、常任理事国を現在の5から11へ、非常任理事国を現在の10から14~15へと拡大する改革案を提出した。4カ国はそれぞれ常任理事国入りを目指しており、安倍晋三首相も積極的な姿勢を示している。

改革に必要な国連憲章の改正には、全加盟国の3分の2の賛成と現・常任理事国のアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国の賛同が必要。だが、既得権益を手放したくない仏中の反対などが予想され、実現の見通しは不透明という。

果たして、国連の体制を見直し、常任理事国を増やすべきなのか。答えは「イエス」である。

その最大の理由は、国際情勢の変化だ。現在の国連は、第2次大戦の際に、戦勝国である連合国側が敗戦国を抑えこむ形でつくられた。だが、戦後70年が経ち、勤勉な国民性を持つ日本やドイツは目覚ましい発展を遂げ、世界経済の牽引役となっている。また、人口が増加するインドやブラジルなどの国々が先進国の仲間入りを果たそうとするなど、各国の役割が大きく変化している。

国連創設当時には、想定できなかったような劇的な変化を考えれば、体制を見直すのは当然だ。

また、各国の「国連への貢献度」も重要だ。国連には、「国連分担金」という経済発展の度合いなどに応じて各国が支払うお金があるが、その内訳は、1位がアメリカ、2位が日本、3位がドイツ。日独は他の常任理事国を差し置いている。

かたや、現・常任理事国を見ると、中国は、ウイグルやチベットでの人権問題、東シナ海・南シナ海で軍事力を誇示するなど、国内外でさまざまな問題を起こしている。そもそも、国連創設当時の常任理事国は台湾に逃れた国民党率いる「中華民国」であり、決して共産党率いる「中華人民共和国」ではない。

そうした「非合法政権」が常任理事国を名乗り、国際社会が進むべき平和・繁栄への道をゆがめている。にもかかわらず、世界に良い影響を与えている日本やドイツが常任理事国になれないのはどう考えてもおかしな話だ。

戦後70年の節目に、国連には「正しさ」に基づくイノベーションが求められている。(祐)

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