ギリシャと欧州連合(EU)との間で、資金援助を巡る交渉が続いている。
ギリシャは現在、EU、欧州中央銀行(ECB)、そして国際通貨基金(IMF)からの資金援助で財政を支えている。しかし、1月下旬のギリシャ総選挙で首相となったアレクシス・ツィプラス氏は、資金援助の条件だった「緊縮政策」などを終わらせたいと、EUに主張している。
ギリシャ危機の、これまでの経緯を要約すると以下のようになる。
- 2008年の金融危機で、世界的に景気が低迷し始めると、ギリシャ政府の税収が減り、外国への借金を返すことができなくなった。
- 2010年、ギリシャがデフォルト(債務不履行)する可能性が高くなる。その影響がEU全体に広がる懸念が高まったため、EU諸国、ECB、そしてIMFが、ギリシャに1100億ユーロの資金援助をする。2013年には、さらに1300億ユーロの追加援助をした。
- これらの援助には、「政府が使うお金の量を減らすこと(緊縮政策)でギリシャの財政を再建せよ」という条件がついてきた。
- しかし、緊縮政策はギリシャ経済の金回りを悪くし、経済を悪化させた。2008年から14年にかけて、GDPは22%も縮小。そのため、国が抱えている借金はかえってGDP比127%から175%まで上昇した。緊縮政策は、ギリシャ経済を悪化させただけで、財政の再建にはつながらなかった。
ツィプラス首相は、「緊縮政策」という資金援助の条件を止めて、財政資金を社会福祉に使いたいと考えている。これに対し、ユーロ圏で最も影響力を持っているドイツは、「ドイツ市民が出した資金が、ギリシャの福祉・バラマキ政策に使われる」と言って反対している。
ギリシャへの資金援助は28日に期限が切れる。もし「援助の延長」という合意が見られなければ、ギリシャはデフォルトを起こすと言われている。
しかし、たとえ追加援助が合意されたとしても、根本的な問題の解決にはならない。ギリシャは、財政資金を国の産業などに投資するためではなく、福祉の充実など、国民へのバラマキに使ってきた。そのためドイツなどからは「怠け者」との謗りを受けている。そのためギリシャ政府は財政危機に陥り、外国に依存することになったのだ。
たとえ緊縮政策を終らせても、またバラマキを行い、付加価値を創造するためにお金を使わないのであれば、経済は成長しないし、財政状況も改善しない。
EUに依存し続けても、ギリシャの状況は改善されないだろう。欧米各紙によると、元米国連邦準備銀行の議長だったアラン・グリーンスパン氏は、「ギリシャはユーロ圏を離脱するしかないだろう」と、最近発言した。確かにギリシャは、ユーロ圏から離脱し、自助努力の精神で一からやり直すべきなのかもしれない。(中)
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