「日本軍の慰安婦にされた朝鮮人女性」を主人公とする小説を、韓国系団体が、全米の図書館に寄贈するという。産経新聞が報じた。

問題となっている小説は、アメリカ人作家が昨年1月に発表した"Daughters of the Dragon: A Comfort Woman's Story"と題するもので、第2次大戦中の1943年に14歳で強制連行され、慰安婦にされた朝鮮人女性が、戦後も苦労して過ごすというストーリーが描かれている。

記事では、韓国系団体幹部が「『アンネの日記』を置いていない図書館はない。人々はそれを読みホロコーストの残酷さを知って学ぶ」と韓国メディアに語ったと伝える。日本軍の"慰安婦の強制連行"を歴史的事実にしたい、韓国系団体の政治的な思惑が透けて見える。

こうした動きについて「あくまでフィクションの寄贈」として気にすべきでないと思う人もいるかもしれないが、著者のウィリアム・アンドリューズ氏は、小説に登場する個々の事件について「多くの調査をしたので『正確だと思っている』」と記し、事実であると主張している。

いわゆる慰安婦問題については、これまで本誌でも報じてきた。日韓併合前の朝鮮は中国の朝貢国として長期間、中国に多くの女性を貢物として贈り、慰安所への身売りも行われていた。実際、「元慰安婦」の証言には、「親に売られた」という事例がみられる。

吉田証言の撤回や朝日新聞の誤報問題など、日本国内で"慰安婦の強制連行"は根拠を失っており、「広義の強制性」なるあいまいな表現に逃げる他なくなっている。

しかし、"Daughters of the Dragons"には、参考論文として日本人の研究者の論文が登場する。うち一つは、「日本の慰安婦」という、強制連行を認める内容の論文で、その著者名"Yuki Tanaka"は女性のようだが、実際には田中利幸という男性のペンネームだ。この人物は他にも「難波哲」や「赤坂まさみ」などの名前を使い分け、日本を貶める内容の論文を英語で発表しているが、邦訳されていないため日本ではなかなか気づかない。

慰安婦問題が大きくなってしまった原因のひとつには、日本からわざわざ火種を投じたことがある。こうした人物の存在や、慰安婦問題のそもそもの発端となった「吉田証言」や朝日新聞の報道、河野談話などは、その"火種"の代表的なものだ。

まずは「日本政府が慰安婦の強制連行にお墨付きを与えている」根拠として使われている河野談話の撤回が必要だ。この夏に予定されているという、首相の新しい談話で一掃すべきだろう。(居)

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