原油に続き銅の価格が暴落したことは、中国経済のバブル崩壊が近いことを意味しているかもしれない。

国際市場の大きな動きとして、2014年半ばから原油価格が50%以上暴落している。それが何を意味しているのか、識者や投資家は頭を悩ませてきた。しかしここ最近、銅の価格も低下し始めた。これは、原油価格暴落を加速させている要因を浮き彫りにしている可能性がある。

原油暴落は「供給増」か「需要減」か?

原油価格の暴落には様々な理由が挙げられてきたが、基本的には、「原油の供給が増えているから」、または「原油の需要が減っているから」の、どちらかだ。

「供給が増えているからだ」と主張する専門家は、アメリカにおけるシェール田の原油生産量の拡大と、サウジアラビアが原油の生産量の縮小に反対していることが、理由だと言う。

「需要が減っているからだ」と主張する専門家は、日本、中国、ヨーロッパで経済の失速が見られるため、これらの国々が原油の輸入を減らしたことが理由だと言う。

識者やマスコミの間では、どちらがより有力な説かで意見が分かれていた。

経済停滞を表す「銅の下落」

しかし、今回新たな要素が加わった。13日、ニューヨーク市場で銅の価格が6%もの下落を見せたのだ。

銅は、建築、電子機器、エネルギー供給、送電など、経済の多方面で使用されるため、経済の状態を教えてくれる「銅博士」(Dr. Copper)と呼ばれている。銅の需要・価格が下がることは、経済活動が停滞しているためだと、解釈されることが多い。

そのため、今回銅の価格が急落した理由は、「世界経済が失速しているから」ではないかと懸念され始めている。

停滞しているのは中国経済?

これについて、米誌ビジネス・インサイダーは、米銀行バンク・オブ・アメリカの中国の専門家であるデビッド・クイ氏が、中国市場に対する不安を指摘したと報じた。

中国側から出るGDPなどの経済指数には、以前からその信憑性を疑う声が上がっていた。そのため、中国の本当の経済規模を試算するために、エネルギーの使用量や、原油・銅の輸入量を見る専門家もいる。

中国経済は銅を大量に使用するため、銅の価格暴落は、中国経済の停滞か、中国の金融業界でトラブルが生じていることを示しているのではないかと、クイ氏は推察する。原油価格低下の背景にも、中国の失速が絡んでいる可能性もある。

もし中国の実体経済が、共産党政府が発表する経済指数より悪いものであれば、どこかでこのバブルが破裂する可能性は高い。

中国バブル崩壊に備えるべき

それは、日本、フィリピン、ベトナムなど、中国の脅威に晒されている国々にとって、必ずしも朗報とは言えない。中国経済の危機は、世界中に波及する恐れがあり、世界各国はその影響を最小限に抑えるための事前対策を練っておくべきだ。

また、日本は経済対策だけでなく、経済的に困窮した中国が暴発しないように、国防体制も整えておく必要がある。(中)

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2014年11月29日付本欄 原油安とシェールオイル 各国の思惑 <経済編>

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2014年10月3日付本欄 中国が新たな「シャドーバンキング」対策を開始 それも問題の先送りに過ぎない

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2013年5月号記事 メタンハイドレートって何? - そもそモグラのそもそも解説

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