先の衆院選の北海道比例ブロックで立候補した政党「支持政党なし」が、社民党の5万364票、次世代の党の3万8342票を大きく上回る10万4654票(得票率4.1%)の票を集め、話題になっている。

近年、特定の政党を支持しない「無党派層」の有権者が増加傾向にある。同党のHPによると「敢えて『支持政党なし』という選択肢を作ることにより、国民の合意による政治という民主主義の理念を実現させようとするもの」と、結党の趣旨を述べている。

この団体は、政党としての政策を一切持たず、議会におけるさまざまな議案・法案について、その都度インターネットでのアンケートなどを通して有権者がその議決に参加することで、民意を最大限に反映するとしている。だがこれは、究極のポピュリズム(大衆迎合主義)政党と言えるだろう。

こうした政党が4%の得票率を集めたのは、汚職やウソの多い政治家に対する不信感もあるだろう。「既存の政党の中には、支持できる政党がない」「どの党に投票しても結果は変わらない」などとあきらめの気持ちを持っている有権者も数多く、そうした人々の受け皿になった可能性もある。もちろん、支持する政党がなく、同党に票を投じるつもりもない有権者が「支持なし」と書き、1票にカウントされたケースもあっただろう。

確かに、選挙では耳当たりのいいことを言って、後で異なる政策を実現する政治家たちの姿を見ていると、そうした有権者の気持ちも理解できなくはない。だが、そもそも「政党」とは何なのか。

政党とは、一般的に「共通の政治的主義・主張を持つ者によって組織され、一定の政治的利益や政策の実現のために活動し、政権獲得をめざす集団」と定義されている。これに照らせば、「支持政党なし」党は、国民に提示する政党としての理念や政治哲学が一切ないため、この定義に当てはまらない。そもそも政党とは呼べない組織が、比例で立候補することができる選挙制度には問題があるだろう。

また、選挙とは、有権者が実現してもらいたい政策や国家のビジョンを政治家に託す貴重な機会である。その意味では、有権者も一定の信念を持って選挙に参加することが求められるのではないか。

この「支持政党なし」党の対極にあり、確固たる政策を一貫して主張し続けている政党がある。それが、幸福実現党である。

幸福実現党は、2009年の立党以来、一貫して日本の繁栄の未来のために必要な政策を訴え続けてきた。集団的自衛権の行使や原子力発電の推進など、有権者にとって耳触りの良い政策ばかりではないが、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると正論で戦っている。

公職選挙法などが規定する「政党要件」を満たしていないため、マスコミなどに「諸派」扱いされることも多いが、主義主張が一貫しているという点で、もっとも政党らしい政党である。

民主主義がナチスを生んでしまった経緯を見ても、多数派が必ずしも正しく、国民を幸福に導くとは限らない。たとえ、その時には少数意見であっても、「これこそが、国家を繁栄させ、国民を幸福に導く道だ」と信念を持って政策を打ち出すことが政治家の仕事である。また、有権者もそうした政治家を見抜く目を持つことが大切だ。(真)

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