2015年1月号記事

2015年 世界はこう動く 第2部

私はこう予測する!

アメリカ、中国、韓国、北朝鮮の行方

第1部でも見たように、アメリカのシェール革命、中国のバブル経済、韓国の反日歴史包囲網、北朝鮮の金正恩体制の行方は、日本の問題でもある。これらの複雑な問題について、専門家に話を聞いた。

(編集部 中原一隆、馬場光太郎、山本慧)


contents


アメリカのシェール革命

アメリカで沸くシェールブームはどのような未来を迎えるか、専門家に聞いた。

シェール生産のピークは10年以内に来る

地質学コンサルタント

アーサー・バーマン

米テキサス州在住。石油コンサルティング会社「ラビリンス・コンサルティング・サービス」会長。米コロラド鉱業大学で地質学の修士を取得。石油開発事業で30年以上の経験を持つ。CNNやニューヨーク・タイムズなど、全米配信のテレビ・新聞・ラジオなどでエネルギー関連のインタビューに答えている。また、ピークオイル協会の議長やヒューストン地質学会紀要の副議長や編集を経験。石油業界の第一人者としてマスコミをはじめ、多方面から信頼を集めている。

シェールガスの生産は2020年あたりにピークを迎えるでしょう。シェールオイルは20年代にピークを迎えた後、生産が縮小に転じるはずです。 ただ、ここ10年ほどは現在の生産量を維持できると思います。

問題は多くの人々がこれらのものが永遠に続くわけではないということを理解していないことです。石油・天然ガス産業の歴史を見れば分かりますが、シェールのような採掘上のトレンドを見つけ、それが何年か続いたあと、必ず衰退期に入ります。その後も生産は続きますが、生産量は低く、アメリカ経済を養えるほどにはなり得ません。

投資家が逃げ始めたら企業は窮地に陥る

住友商事のケース(第一部参照)は他の企業の経験とそれほど異なるものではありません。

住友の場合は、シェール事業に飛び込み、金を使い、油田を掘り、その結果を分析しました。そして、彼らは開発コストが収入を上回ったことに気付き、「これはだめだ。撤退する」と考えた。英石油企業のシェルも同じです。シェルはイーグルフォードのシェール田に投資しましたが、数十億ドルの損失を出し、撤退を決めたのです。

BHPビリトンも、フェイエットビルのシェール田に投資しましたが、2年間で20億ドルの損失を出した後、油田の資産を売り払うことに決めました。

一番良い状況にいるのがEOGリソースという企業です。この企業は、6月末までの半年間で42億ドルの収入と41億2700万ドルの支出がありました。ぎりぎり黒字です。しかし、彼らのバランスシートには59億ドルの負債があります。これで一番良い状況にある企業ですよ。住友が提携していたデボン・エナジーは収支がほぼ釣り合った状態ですが、6月末の時点で124億ドルもの負債を抱えていました。これは懸念材料です。

こういった 企業はなぜ運営を続けられるのか。それは、シェールの熱狂にとらわれ、資金を出す資本家が多くいるからです。 だから、これらの企業は生産を上げ続けることができるのです。儲からなくても、生産が拡大し続けるアメリカのシェール事業の背景にはそのような現実があります。 もし何かの理由で資本家たちが逃げ始めたら、こういった企業は窮地に陥るでしょう。

住友は、恐らく他の多くの人々と同じ様に熱狂にとらわれたのでしょう。ニュースを見れば、アメリカのシェール事業は、とても成功率が高いため、失敗がないかのように聞こえます。しかし、もう少し疑いの目を持ち、実際に現場で起こっていることを知るべきです。

問題は支出と収入の不均衡

問題は、単純に支出と収入の不均衡です。最近多くのニュースでアメリカの石油生産量がサウジアラビアを超えると伝えています。それはそれでいいのですが、世間や政治家が理解していないのは、アメリカで石油を一バレル生産するのに85~90ドルかかることです。

それに対し、サウジアラビアは15~20ドルで生産できます。シェールの成功が素晴らしいと思うのは結構ですが、その生産コストがサウジアラビアやペルシャ湾周辺の国々の4倍かかるということを理解する必要があります。これは非常にコストのかかる事業なのです。

採掘しやすいシェール田はすでに開発されています。比較的新しいマルセイユ田は急速に開発され、古いシェール田はすでに衰退期に入っています。他に残った場所は、採掘しにくい所ばかりで、コストが高いのです。

一つの油田につき開発コストが600~1千万ドルかかるということは、石油価格が高かったとしても、資本家に利益を支払うためには、高い生産力と大量の埋蔵量が必要なのです。つまり、住友はこう考えたのです。

「我々は経験から、この事業では最善のことを行っても投資額を取り戻せるかどうかというレベルであり、その他のコストなどを考慮に入れた場合、赤字となる。もう金を取り戻すことはできないから、撤退しよう」

日本は原発を再稼動すべき

日本は独自の石油やガスの生産ができないので、選択肢は多くありません。

再生可能エネルギーは、世界中で使用しているエネルギーの3%ほどしか賄えていません。1バレルの石油には、1人の人間の11年分の労働力が詰まっています。非常に密度の高いエネルギー源です。これを、太陽光や風力発電で賄うのは容易ではありません。多くの人々は理解していませんが、石油依存をなくすことは非常に難しいのです。 日本では、いま原発の再稼動への気運が高まっていますが、これは良い傾向だと思います。 (談)

アメリカ全土でシェール採掘が進んでいる。採掘しやすい場所は既に開発されており、残された場所は開発コストが高すぎ、採算が合わないことが多い。


2015年、中国の地方政府が破綻する

嘘やごまかしで膨れ上がった中国経済は今後、大減速を迫られそうだ。

中国経済に詳しい専門家に、その実態と2015年の展望について聞いた。

評論家、作家

宮崎正弘

(みやざき・まさひろ)1946年金沢市生まれ。早稲田大学中退。編集者を経て、83年に『もうひとつの資源戦争』(講談社)で論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュには定評がある。同時に、中国ウォッチャーとして中国33省を踏破している。『中国・韓国を本気で見捨て始めた世界』(徳間書店)など多数。

高成長しているかに見える中国の国内総生産(GDP)の数字は、中国政府高官さえも信用していません。

内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電に、こんな話が書いてありました。

現首相である李克強氏が、2007年に遼寧省党委書記を務めていた時、アメリカの大使に 「中国のGDP統計は人為的なもので、われわれも信用していない。参考程度にするだけ」 と笑いながら話したというのです。

中国のGDPの水増しは200兆円

では、実際のGDPはどの程度か。これは検証可能な数字を見れば推定できます。それは、「電力消費量」「コンテナ取扱量」「貨物輸送量」の3つ。これらの数字はごまかせません。

例えば、「電力消費量」の伸びから推定すると、過去20年間の中国経済は、年平均でせいぜい3~4%成長です。 現在の7%台や、2000年代前半の10%台とはかけ離れています。

アメリカの学者の間では、中国のGDPは最低でも100兆円は水増しされていると言われています。私は、200兆円は水増しされていると思います。 現時点で、約900兆円と発表されていますが、実際は700兆円あるかどうか、でしょう。

GDPは、「政府の財政支出」「貿易黒字」「個人消費」「企業の設備投資」の4つで構成されています。このうちどの部分が、水増しされているのか。「財政支出」については政府予算が発表され、「貿易黒字」については貿易相手国の数字があります。ごまかしにくいでしょう。そうすると、水増しはまず「個人消費」にあるはずです。統計では消費量が伸びているにもかかわらず、物価が上がっていません。

あとは、「企業の設備投資」の水増しです。中国の企業の多くが国有。ここで働く人々は事実上の役人ですが、彼らは設備投資をしたように報告して、実は何もしていないはずです。

出世したい役人のウソ報告でできたバブル経済

出世のため、GDPの水増しや、無駄な開発に投資をしてきた地方政府

大連市人民政府庁舎

湖南省長沙市にある庁舎

こうした水増しの背景には、役人の「立身出世主義」があります。

中国では毎年3月に、全国人民代表大会(全人代)が開かれ、そこで首相がGDPの目標値を掲げます。去年の目標は8%、今年は7・5%でした。

地方政府の役人たちは出世するために、中央政府の目標に沿った数字を作るのです。 つまり、「中央の目標が7・5%だから、うちの省は現状より3%ぐらい上乗せしよう」などと、嘘の数字を報告するのです。

中国では、個人や企業でも出世のためにウソの報告をし、他人の嘘の悪口を言い、上司にゴマをすり、あげくの果てにはお金を包むことが、当たり前のように行われている。それが国家レベルで行われていると考えればいい。彼らにとって、GDP統計の水増しなんて、当たり前の話なんです。

つまり中国経済の実態は、私たちが思っているよりも貧しいものです。

尖閣に軍事侵攻して紛争をつくり出す可能性

2015年、そんな経済状況に追い討ちがかかる可能性があります。地方政府の債務問題が限界に来ているからです。

地方政府傘下の企業である「融資平台」が、マンションなどの不動産を開発するため、全体で銀行から300兆円以上を借りています。今年の年末、その40%が、償還期限を迎えます。

今まで地方政府は、債務を返すため、シャドーバンキングや理財商品を通じて、国民からお金を借りていました。さらには、銀行に増資させ、地方債や私募債を発行することで、その場をしのいできました。そうした手段にも、限界が近づいています。破綻するかもしれません。

その場合、日本への経済的影響も大きいでしょう。 本格的に中国に進出しているトヨタ、日産、ホンダ、コマツ、ダイキンといった企業は、相当な減産を迫られます。 昨年、上海の株が5%落ちた時、これらの銘柄も5~6%下落しました。日本の株価にも悪い影響を与えるでしょう。

外交面では、 中国は諸外国から経済支援を引き出すため、一時的に弱気を見せると思います。 あの国は自分たちが困ったときだけ、にこにこしながら揉み手をして、近づいてきます。

でも、 どうにもならなくなれば、紛争や戦争を起こす可能性もあります。 1929年の世界恐慌後、ルーズベルト米大統領は景気回復のため、対日戦争を始めました。すると、とたんに経済が甦りました。中国も同じように、尖閣諸島に軍を上陸させて紛争を作り出し、国内経済の混乱をごまかすかもしれません。(談)


2015年、韓国の慰安婦のウソがばれる

アメリカでは、韓国系の団体が慰安婦像を立てるなど、ロビー活動を活発化させている。このウソに基づく反日運動に歯止めをかけようと国内外で活動する山本優美子氏に、話を聞いた。

なでしこアクション代表

山本優美子

(やまもと・ゆみこ)

上智大学卒。女性の立場から歴史問題のウソを追求するという趣旨のもと、2011年、「なでしこアクション」を設立し、現職。今年7月、国連の自由権規約委員会で慰安婦の真実を広めるためにスイスにまで飛んだ、行動する保守派。著書に『女性が守る日本の誇り』(青林堂)がある。

アメリカでは韓国系移民が急増していますが、一般の人は自分の生活で精一杯で、それほど政治に関心がありません。しかし、 韓国系市民団体が各地に発足し、自分たちの政治的影響力を高めるために、選挙登録を呼びかけ、日本を非難する慰安婦問題を利用して結束を図っています。 反日教育を受けた韓国人にとって、慰安婦は誰もが理解できるテーマであり、格好の「政治の道具」と言えます。

また、韓国系移民の増加に伴い、韓国系のキリスト教会が増えていることも、アメリカで韓国系の人々の反日運動が盛り上がっていることと関係します。社会的な結びつきが弱い移民にとって、教会はコミュニティをつくる存在。毎週の集会で、慰安婦問題を追及することにより、参加者の団結を煽り、寄付金を募っているのです。

まじめなアメリカ人ほど慰安婦のウソに引っ掛かる

実は、韓国系の反日運動について、アメリカ人の多くは無関心です。コンフォート・ウーマン(慰安婦)と聞いても、その単語の意味さえ知りません。

しかし、 先の大戦は日本が悪かったとの"常識"を持つまじめなアメリカ人ほど、慰安婦のウソに引っ掛かりやすい。 かわいそうと単純に思い込んでしまう。韓国のクリスチャンが反日運動を行うことも、「同じクリスチャンが、ウソを言うはずがない」と考えてしまうのです。

韓国側が、慰安婦問題を歴史的事実ではなく、女性の人権問題にすり替えていることも問題です。実際、韓国の団体がカリフォルニア州フラトン市に慰安婦の記念碑を設置しようとした際、女性人権団体を味方につけていました。

一方、対抗すべき日系団体の多くは、文化交流を目的にしており、政治活動には関わろうとしない。日本政府の対応は以前よりは積極的になったものの、官民一体となってのロビー活動に熱心な韓国側を相手にしては、初めから勝負は見えています。

中韓が歴史認識の戦いで共闘し始めた

8月16日、米ミシガン州デトロイトにある韓国人文化会館で、全米で2体目となる慰安婦像が設置された。

写真:Yonhap/アフロ

韓国系の反日運動に対して、南京大虐殺で日本を糾弾する中国系の団体が共闘する事例が増えています。

今年2月、オーストラリアでは、中韓の共同市民団体「反日本戦争犯罪連盟」が発足し、シドニー郊外のストラスフィールド市で慰安婦像の設置を画策しました。現地の日本人が立ち上がり、署名活動などで辛くも白紙になりましたが、中韓の移民が多い地域では、いつ何時、こうした動きが出てくるか分かりません。

昨年、設置されたカリフォルニア州グレンデール市の慰安婦像に対し、私は抗議のメールをアメリカの新聞に大量に送りました。その際、地元紙の取材を受けましたが、「極右」のように扱われました。

ただ最近では、現地の日本人が声を上げ始めたこともあってか、「なぜ、韓国は何の関係もないアメリカに像を立てるのか」といった疑問の声も新聞に載るなど、流れは変わりつつあります。 アメリカ人も、慰安婦のウソに気づき始めたのです。

諸悪の根源である「河野談話」を見直すべき

2015年、韓国は慰安婦問題を、中国は南京大虐殺を持ち出し、反日ロビー活動を活発化させるでしょう。特に来年は、彼らにとって「抗日戦争70年」に当たる年で、アメリカでは慰安婦展などの計画も取り沙汰されています。オーストラリアのように、予期していなかった国にも、突然、慰安婦像の設置構想が浮上してくるかもしれません。

私のように有志で動く場合、韓国の反日活動は、韓国メディアの報道で知り、その情報を現地に確認を取り、抗議するパターンが多いです。しかし、こうした活動には限界があります。

モグラ叩きのように反論する日本は、根本的に戦い方を変えなければなりません。まず政府が、諸悪の根源である「河野談話」を見直し、新しい談話を出すべきです。 また、中韓のプロパガンダ(政治的宣伝)に対処する部局を政府内に新設し、私たちのような活動を後押ししてほしい。こうした官民が一体となった情報戦が不可欠です。(談)

著者のサイン本を読者プレゼント。詳しくは本誌89ページをご覧ください。


著者インタビュー

2015年、北朝鮮は4度目の核実験に踏み切る

最近、『習近平は必ず金正恩を殺す』『金正恩の正体』の2冊を上梓した北朝鮮・中国問題に詳しい近藤大介氏に、北朝鮮の行方を聞いた。

「週刊現代」編集次長

近藤大介

(こんどう・だいすけ)

1965年、埼玉県生まれ。東京大学卒業後、講談社に入社。「週刊現代」副編集長などを経て、現在は編集次長。著書に『習近平は必ず金正恩を殺す』(講談社)、『金正恩の正体』(平凡社)など多数。

北朝鮮では、初代の金日成が、政治の独裁化を目指す「主体思想」をつくり、息子の金正日が、軍事を最優先させる「先軍思想」をつくってきました。

ところが、孫の正恩氏は、変化する国際情勢の中で自国を治める思想や政策を持っていません。人事も目まぐるしく変わる上に、31歳という若さもあってか、場当たり的な行動が目立ちます。権力を掌握しきれていない証拠です。

そもそも、 正恩氏が掲げる「核開発」と「経済建設」というスローガン自体に根本的な矛盾があります。 北朝鮮は独力で経済成長できないので、他国の支援を必要としています。ですが、核開発をすれば、国際社会からの支援が止まる。その一方、核開発をやめれば、軍部をおさえきれなくなる。核開発と経済再建は矛盾しているのです。

一方、同じ一党独裁国の中国が経済発展を遂げた理由は、敵であったアメリカとの国交を回復して裁軍(軍縮)し、部分的に市場経済を導入したためです。しかし、北朝鮮は、アメリカとの国交回復はできず、経済は惨憺たるものです。

北朝鮮・中国の血盟関係は終わり
中国は正恩政権の崩壊へ

北朝鮮の後ろ盾であった 中国との関係も、張成沢の処刑以降、悪化したままです。むしろ、今後さらに悪くなると思います。なぜなら、北朝鮮は早くて、2015年後半には核実験に踏み切る可能性が高いからです。

核実験は通常、1回の実験あたりに国家予算の約半分となる3千億円を使うので、2、3年に1回しかできません。1回目は2006年10月で、2回目は09年5月、3回目は13年2月でした。そこから計算すると、来年の後半には核実験の準備が整います。軍を掌握したい正恩氏は、核実験のゴーサインを出すでしょう。

しかしそれを行えば、中国は正恩政権の転覆に動き出し、親中政権の樹立に向かうと考えます。その際、中国が懸念することは、アメリカがどう動くのかということです。

ただ、韓国の朴槿惠大統領は中国に傾倒しています。実際、朴大統領は、中国の習近平・国家主席に対して、北の政権が崩壊した場合でも、米軍を北朝鮮に入れさせないと約束しています。従って、中国は、朴大統領が掲げる「朝鮮半島の統一」を牽制する気配がありません。

北朝鮮・ロシアの関係は建国以来の「蜜月時代」に回帰

中国が韓国と頭越しに仲良くしているのを見て、北朝鮮はロシアとの関係を強化させています。正恩氏は遠からず、ロシアを訪問すると思います。

ロシアのプーチン大統領も今年4月、議会に承認を促し、ソ連時代に北朝鮮に貸していた債務の9割を免除することを決めました。そのため北朝鮮は、ロシアから北朝鮮を経由して韓国を結ぶ天然ガスのパイプライン建設に前向きです。北朝鮮は、通行料として最大年間約300億円の外貨を得る予定です。

またロシアにとって、極東に位置する北朝鮮との関係強化は中国への牽制にもなります。ロシアは多数の中国人が極東のロシア領土に入植することに頭を悩ませています。北朝鮮の労働者がその代わりになるのなら、中華圏の拡大を阻止できます。そもそも北朝鮮は、旧ソ連がつくった衛星国。 今や、ロシアと北朝鮮の関係は建国以来の「蜜月時代」に入ったと言えます。

北朝鮮は日本の拉致問題を解決する気はない

北朝鮮が3回目の核実験を行った際の産経新聞の電子版号外。

『習近平は必ず金正恩を殺す』

講談社刊

一方、日本の安倍晋三首相は、拉致問題の解決に向けて、北朝鮮との交渉を進めています(11月18日時点)。しかし、 北朝鮮にとって日本との交渉は、ロシアとの関係が悪化した場合の保険に過ぎません。今のところ、何の成果も得られずに、北朝鮮のペースに乗せられています。

これまでの北朝鮮の動きから判断すると、次のような予測が立ちます。

2015年、北朝鮮は核実験を強行し、中国との関係が悪化。それを受け、中国は正恩政権の打倒に動き出す。北朝鮮は、政権を維持するために、ロシアカードを使って中国を牽制。日本については拉致問題の解決をチラつかせて、そのまま放置。そうした事態に気づかない日本──。

日本はいつまでも、他国の思惑に振り回されるのではなく、自ら主導的に外交を進める賢さと強い意思を持つべきです。特にロシアの活用が大事です。(談)