オバマ米大統領と習近平・中国国家主席は中国・北京で2日間に渡り会談した。その中で習氏は、「新しい形の大国関係」をオバマ氏に何度も呼び掛けたがかわされ、共同記者会見では、「いくつかの問題で考え方が異なり、意見が違うことは仕方ない」との弱気な発言が出た。13日付日経新聞が報じた。

記者会見では、温暖化ガス排出量の削減についての米中それぞれの目標や、偶発的な軍事衝突を避けるための相互連絡システムの構築などが発表された。

オバマ氏は習氏に対し、香港でのデモについて、「透明で公正な選挙」を求めたり、人権問題に関して、中国国内におけるチベット族の宗教とアイデンティティーを保護する措置の強化を迫った。習氏はデモについては内政問題であるとし、人権問題については「ゴールはない。より良くしていくだけだ」と答えた。

先日の中間選挙で民主党が大敗し、オバマ氏はアメリカ国内で厳しい立場にあるにもかかわらず、人権問題についてここまで強く出ることができた背景には、香港で起きているデモの存在がある。

香港は、2017年の行政長官選挙において、有権者全員が参加できる制度を導入する予定だった。しかし、北京政府は8月、中国共産党の選んだ人物しか出馬できないようにすると発表。それに抗議する人々が9月末から香港の中心部を占拠し、デモの様子は全世界に知れわたっている。

大川隆法・幸福の科学総裁は著書『国際政治を見る眼』において、デモが続く香港のそばには10万人規模の中国人民解放軍が控えており、いつでも1989年の天安門事件のようなことができる状態になっていると指摘した。しかし、現在は天安門事件のようには隠蔽できないため、「私は、香港は、厳しい状況下にはなると思うものの、頑張れば、中国を民主化に持っていけるかもしれないと思うのです」と、香港デモが中国本土まで影響を及ぼす可能性を示唆し、アメリカや日本、台湾などはデモを支援すべきだと語った。

中国は天安門事件後、G7による対中首脳会議の停止や、経済制裁を受けるなどの国際的な孤立を経験しており、今回の習氏の弱気な発言の背景には、同じ事態を恐れているふしも見える。

中国が経済的にどれほど成長しようとも、人権弾圧を止めなければ、アメリカとの「新しい形の大国関係」どころか、国際的な孤立を招きかねない。大国として対等な付き合いを求めるならば、香港に公正な選挙を認めるなど、先進国であることを示す必要がある。(居)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国際政治を見る眼』 大川隆法著

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