衆議院の早期解散が現実味を帯びてきた。安倍晋三首相は自民党幹部に「年内の衆院解散・総選挙は選択肢にある」と語ったという。遅くとも今国会の会期末の30日までに解散し、12月2日公示、14日投開票など、日程にはいくつかの候補が上がっている。12日付各紙が報じた。

安倍首相は外遊から17日に帰国し、同日に発表される7~9月期のGDP速報値をもとに、来年10月の10%への消費増税を判断する。増税を見送る場合、1年半延期するとみられ、その場合、増税時期が2017年4月となって任期を超えるため、国民の信を問うのだという。連立与党である公明党の支持母体・創価学会も11日に幹部会を開き、総選挙の対策を協議した。

早期解散になれば、現在衆議院で審議途中の女性活躍推進法案や2020年東京五輪・パラリンピック特別措置法案などは審議未了・廃案となる。すでに衆議院を通過している地方創生に関する法案は成立する見込みだ。

弊誌でも主張してきたとおり、4月の8%への消費増税以降、景気の冷え込みは厳しい。さらなる消費増税はすべきではなく、中止ではないものの、今回増税を見送るならば、正しい方向性であると言える。

しかし、今、消費増税の先送りを国民に問うのであれば、前回の総選挙で「増税すべきではない」と訴えていたのは誰なのかを思い出すべきだ。

前回の2012年12月の衆院選では、自民党は2段階の消費増税について「約束を守る」と実施を訴え、民主党も公明党もそれぞれ緩和策や軽減税率を導入しながら実施するとした。共産党は消費増税の中止を掲げたが、同時に、大企業の持つ内部留保を中小企業へ分配することを提言するなど、経済低迷を招くバラマキ政策を訴えていた。

そうした中、消費増税の中止を掲げ、金融緩和などアベノミクスで効果のあった施策を提言していたのが幸福実現党だ。今回、安倍首相が決断しようとしていることを、2012年時点で主張していた政党があったことを忘れてはならない。(居)

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2014年11月8日付本欄 日中首脳会談実現の見通し 安倍首相「消費増税しません解散」に向けた外交成果狙いか

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2014年11月号記事 海外紙が一斉に懸念し始めた 消費増税10%の破壊力 - The Liberty Opinion 2

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