大気汚染の実態を隠すためにつくり出された青空は、中国の社会主義を象徴している。

習近平・国家主席は、「この青空を『APECブルー』と呼んで一時的なものと指摘する人がいるが、ぜひ永遠に続いてほしい」(10日付日経ネット版)と述べた。だが、政府がつくり出した青空が続かないのと同じように、公共投資に依存した中国の経済成長もそれほど長くは続かないだろう。

APECを控えた中国政府は6月以降、「老朽化した自動車約30万台を強制的に廃車にし、環境破壊と指摘されかねない活動を行っている企業計375社を引っ越しさせる」などと、民主主義国であれば考えられない強硬策に出た。また、APEC会場周辺の工場に操業停止命令を出したり、11月3日から12日までの間、北京市発行のナンバープレートの車に対して、末尾の数字の奇数・偶数に分けた走行制限を行ったりした。