4日のアメリカ中間選挙で、共和党が上院で100議席中52議席、下院で435議席中243議席を獲得し、両院で多数を占めた。

米紙ハフィントン・ポストが5日、共和党勝利がアメリカの外交に与える影響を分析している。

民主党はこぞって、選挙敗北の責任をオバマ氏に向けており、40%弱という低支持率を見ればそれも理解できる。2008年に、その演説で人々を熱狂させたオバマ氏だが、特に最近、あらゆる外交・経済政策で後手を踏み、その雄弁さに見合う内実と統治能力が無いことを国民に指摘されている。

今後、共和党主導の議会と民主党のオバマ政権の間で、アメリカからどのような政策・法案が出てくるのか。興味深いのは、共和党が批判しているオバマ氏の政策は、ほぼ全て「大きな政府」や「安全保障」関連であるということだ。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の締結については、これまで雇用の流出を恐れる民主党議員によって妨害されてきた。共和党はオバマ政権同様、締結に前向きであり、協定の前進は、オバマ氏が何人の民主党議員を説得できるかにかかっている。

中東で猛威を振るっているイスラム国への対応はどうなるか。タカ派である共和党の思惑が通れば、来年の今頃には米軍が地上兵を投入しているかもしれない。また、共和党はイラクやアフガニスタンにおける米軍のプレゼンスを高めようとしているが、米軍撤退を自らの政権の成果の一つと数えているオバマ氏による抵抗が予想される。

ロシアについては、共和党は強硬な姿勢を取るべきだとしている。しかし現実的に、アメリカが打てる手はほぼ全て打たれており、ロシア周辺国との連携をさらに強化する以外、アメリカができることは少ない。

また、今アメリカの安全保障政策上の外交で最大の関心事の一つであるイラン核問題で、オバマ氏は、議会の承認なしでイランと協定を結ぶ姿勢を見せている。共和党議会はこれに強硬に反発するものと思われる。

中国や北朝鮮については、動向が最近静かであることから、共和党議会は両国にはあまり時間をかけない可能性が高い。

内政面はどうか。共和党の一番の関心事は、国民皆保険・オバマケアの撤廃だが、廃止法案にはオバマ氏が拒否権を行使するため、共和党はオバマケアを部分的に廃止する戦略を取ると言われている。

一部メディアの間では、大胆な政策や法案を打ち出すことができる時間的な窓口は、大統領選に向けた選挙活動が本格化する2015年の半ばまでの6カ月ほどだと言われている。その後は、議会も選挙で不利になりそうな大きな法案は出さず、オバマ氏のレームダック化が一層進むと思われる。

共和党の掲げる政策を列挙すると、アメリカ国民が持つ、オバマ氏に対する不満の源泉が見えてくる。

6年前、オバマ氏は「大きな政府」と、ならず者国家との融和を掲げて当選したが、中間選挙の結果を見ると、国民がオバマ氏を「失敗」と断定したことが分かる。少しずつだが、アメリカ国民も、「大きな政府」や弱腰外交がもたらす害悪に気付き始めているのかもしれない。(中)

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