慰安婦の問題について報告した「クマラスワミ報告」を作成したスリランカの法律家、ラディカ・クマラスワミ氏に対し、日本政府が内容の一部撤回を求めたことがこのほど明らかになった。
この「クマラスワミ報告」は、1996年に当時の国連人権委員会が採択したもの。旧日本軍の軍令により、韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言や元慰安婦の証言などを根拠として、「慰安婦」は「軍事的性奴隷」だったと位置づけ、日本政府の責任を問い、謝罪や被害者への賠償を勧告するよう国連人権委に求めていた。
日本政府が撤回を求めたのは、吉田清治氏の証言の箇所。吉田氏は、慰安婦を強制連行したという話は創作であると認めており、朝日新聞も今年8月、吉田氏の証言について誤報を認め、記事を取り消している。しかし、クマラスワミ氏は「吉田証言は(報告作成に当たっての)証拠の一つにすぎない」と取り消しに応じていない。
従軍の慰安婦制度はなかったことが明らかになっているし、強制的に連行された慰安婦もいたが、それは一部の業者によるものだと分かっている。それでもクマラスワミ氏が「慰安婦は性奴隷だった」との態度を変えないのは、報告書の根拠が、慰安婦への聞き取り調査に加え、1993年に当時の河野洋平官房長官が発表した、慰安婦の強制連行を認める「河野談話」にもあるからだ。
日本政府は現在も河野談話を継承する立場であり、撤回は想定していないという。しかし、河野談話が存在することにより、誤解は広がるばかりだ。今年7月に国連人権理事会の自由権規約委員会は、日本に対し「遠回しな『慰安婦』ではなく、適切な呼び方である『強制性奴隷』の呼称を使うべきだ」「元慰安婦らに完全な賠償を行うように」と勧告。クマラスワミ報告に沿った内容であり、河野談話が盾に取られている。
ここ1年の間に、河野談話の成立過程における慰安婦の証言は曖昧で裏付け調査をしていなかったことや、韓国政府との間で事前に内容をすり合わせていたことなどが白日の下にさらされている。今後、政府は日本の正当性を主張する新たな談話を出すとともに、河野談話については撤回すべきである。(晴)
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