安倍晋三首相は29日、臨時国会の所信表明演説で、今期国会を「地方創生国会」と命名した。「地方創生」は、地方の人口減を食い止め、地域を活性化させるという安倍政権の目玉政策。安倍首相は「やれば、できる」と強調し、関連法案を閣議決定した。
しかし、それを見る国民の目は冷たい。9月28日付日本経済新聞が発表した世論調査では、地方創生に「期待できない」と答えた人の数が47%で、「期待できる」と答えた35%を大きく上回った。「具体策が見えない」「4月の統一地方選対策の、単なるバラマキで終わる」という懸念が大きいようだ。実際、決まっているのは、「地方がアイデアを出し、政府が税制や交付金で支援する」という枠組みだけ。
政府の「地方創生」という課題設定は重要だが、その成否自体は、地方の「起業家精神」にかかっている。大川隆法・幸福の科学総裁は、本誌『未来への羅針盤』でこう述べている。
「地方を興すためには、地方に起業家マインドを持った人をつくることが大事です。(中略)地方は地方なりに、リーダーを出そうとしたら出せるのです。地方でアイデアをつくり出していく努力をして、たとえば地方の青年や女性たちなど有志が集まって、『何か新しい仕事をつくり出すアイデアを生み出そう』という勉強会をやっていたら、アイデアは必ず出てきます」(関連記事参照)
アイデアによる地域活性化の例で有名なのは、石川県羽咋市の公務員・高野誠鮮氏の活躍だ。高野氏は、限界集落だった神子原地区の活性化を任された際、栽培された米をローマ法王に献上することで、高級ブランド「神子原米」をつくり上げた。国内のみならず、海外にもその米を売り、それをテコに地域興こしを進めている。
過疎化していた長野県の山村・下條村の、伊藤喜平村長の活躍も好例だ。伊藤村長は、村内の道路工事などに村民を参加させるといった施策で、行政コストを削り、自ら財源を確保。それによって、「子供がいる」「結婚の予定がある」という条件をつけた「若者向けの格安集合住宅」を建設した。結果的に下條村は10年で人口を1割増やし、出生率1.97人を叩き出した。その様子を見て、企業誘致も始まっている。
どちらも、「起業家精神」を持ったリーダーの存在と、画期的な「アイデア」の存在があった。「地方創生」を具体化していく段になっても、これら成功例は鍵になる。必要なのは、「ヒトづくり」と「アイデアづくり」だ。
例えば、上記のような村興しの「英雄」を周知させ、人々の起業家精神を喚起する手もある。また、アイデアと情熱を持った人材が、地域活性化事業に携われるようにする仕組みを考えてもいい。さらに、アイデアを集める場や、アイデアを生み出し、実現させる方法を学ぶ場を提供することも考えられる。注意すべきは、政府が交付金を出したことなどを理由に、地方に規制を課し、アイデアを潰すことだろう。
「政府の交付金よりも、地域の人々の情熱とアイデアが、何倍もの可能性を秘めている」という認識こそ、「地方創生」の出発点であるべきだ。(光)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『富国創造論 公開霊言 二宮尊徳・渋沢栄一・上杉鷹山』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=86
【関連記事】
2013年6月号記事 大川隆法 未来への羅針盤「経済はアイデア次第で活性化できる」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=5946
2014年9月号記事 釈量子の志士奮迅「山奥の村を『奇跡の子宝村』にした村長の『成長戦略』とは」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8159
2014年9月号記事 繁栄への大戦略は一人ひとりの「内なる革命」から始まる - 「繁栄への大戦略」 - 御生誕祭レポート