アメリカ国内で移植用の腎臓が不足しているという問題を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が1日付社説で取り上げた。現在、アメリカ国内で腎臓移植を待つ患者は10万人いるが、昨年の腎臓移植件数は1.4万件という。一方で、死者から摘出されたものの、移植に使用されず廃棄される腎臓は数多く、専門家の中には「1000件を超える」とする意見もある。

アメリカでは、全米臓器配分ネットワーク協会という民間団体が、連邦政府の委託を受けて、臓器提供者および待機患者の情報を管理して配分している。腎臓廃棄の多さを受け、同ネットワークは臓器の配分システムを見直す方針だという。しかし、この問題の本質は、医療側が腎臓を「モノ」として捉え、「使えるものは使う」という考えで腎臓摘出を行っていることにある。