中国の全国人民代表大会(全人代)で、2017年に予定されている香港の行政長官選挙について、立候補の条件が正式に決定された。その条件とは、大半が親中派で構成される見通しの「指名委員会」の半数以上の支持を得ることとなっており、民主派は事実上、立候補できなくなった。1日付各紙が報じている。

全人代の決定は、一般市民が投票できる「普通選挙」を容認したものの、立候補者を制限する形となった。有権者の一定の支持があればだれでも立候補できる制度を求めていた民主派の主張は受け入れられなかった。

この決定を受け、大学関係者や住民らでつくる香港の民主派団体オキュパイ・セントラルの発起人、戴耀延氏は31日、「(中国との)対話の道は尽きた」とし、数週間以内に学生らによる授業のボイコットや抗議デモなどを行い、「中環を全面的に占拠する」と宣言した(1日付読売新聞)。同団体は同日夜、香港の金融街・中環(セントラル)にある行政長官の事務所前で抗議集会を開くなど、緊張が高まっている。

中国の民主化運動は、民主化と自由を求めて集まっていた学生や一般市民のデモ隊が中国人民解放軍に虐殺された1989年の天安門事件以降、火が消えてしまったかのように見えた。

当時の学生リーダーだった王丹氏は本誌7月号のインタビューで、「中国政府は言論や信教の自由を厳しく統制しています。その状況は非常に劣悪で、むしろ89年よりも悪化しているという事実を日本の方々にも知っていただきたい」と語っている。

しかし、民主化運動の火は、香港で再び燃え始めている。すでに国際都市となっている香港で、天安門事件のときのように民主化運動を弾圧すれば、今度こそ中国は国際社会から見放されるだろう。まずは香港を民主化すべきだ。(紘)

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2014年7月号記事 【インタビュー】天安門事件から25年 日本は積極的に中国に民主化を求めてほしい(王丹氏インタビュー)

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2014年8月号記事 釈量子の志士奮迅 [第24回] スペシャル対談 In 香港 李柱銘

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2014年8月26日付本欄 香港が普通選挙の実施をめぐり二分 香港の自由を守ろう

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