7月28日付各紙朝刊から注目記事を拾い読み。

関電、歴代首相に年2000万円(朝日新聞)

関西電力で政界工作を担った元副社長が、朝日新聞の取材に、1972年から18年間、在任中の歴代首相7人に、「盆暮れに1千万円ずつ献金してきた」と証言。原発政策の推進や電力会社の発展が目的で、「原資はすべて電気料金だった」と語った。

⇒政・官・電力の過度の癒着に問題がないとは言えないが、当時は、政治家個人への企業献金は法律で禁じられていなかった。当時の関西電力側からすれば「原発を導入し、安定的な電力供給を行おう」とした企業努力の結果ともいえる。20日付の同紙にも、中部電力で2.5億円の政界対策費が使われたことを元社員が告発する記事が掲載されたが、「電力会社が政界と関係を結びながら原発事業を推し進めてきた」ことに対し、必要以上にネガティブな評価を与える印象操作はほどほどにすべきだ。

祖父から精子提供を受け、79組の夫婦から118人の子供が誕生 (読売新聞)

非配偶者間体外受精の実施を国内で初めて公表した諏訪マタニティークリニックが、夫婦79組が夫の実父から精子提供を受け、118人の子供が誕生した結果をまとめた。非配偶者間体外受精に関する法的規制はないが、日本産婦人科学界は、体外受精を夫婦間に限っている。

⇒生殖医療をめぐるニュースでは、「祖父から提供を受けた精子から生まれた子供は誰の子供か」といったように、血縁をめぐる問題が取り沙汰されることが多い。

本欄でも何度も指摘してきたが、人はあの世で親子となる約束をして生まれてくるため、血縁だけで親子関係は決まらない。だが、こうしたニュースに違和感を覚えるのは、人間の生命の本質を知らず、医療技術によって人は生命も誕生させることができるという驕りを感じるからだろう。もし、霊的人生観を知らないままであれば、その後、祖父の精子から生まれたことを知った子供はどう感じるか。妊娠や出産は神秘的な営みであり、生命に対する畏敬の念を忘れてはならない。

精神科病床 日本が突出 OECD平均の4倍 (日経新聞)

OECDは、各国の精神医療に関する報告書をまとめ、日本の精神科病床数はOECD平均の4倍で「脱施設化」が遅れていると指摘した。日本における人口10万人当たり精神科病床数は269床と突出しており、加盟国中最も多い。

⇒このデータに、日本の医学界の問題が現れている。本欄でも、統合失調症で入院している患者が薬漬けにされている実態を紹介したが(2013年8月20日付 統合失調症の患者が「薬漬け」になる理由は「霊的視点」が欠けているせい)、今のところ投薬か長期入院しか有効な手立てがないのだろう。さらに厚生労働省が、保険適用される治療についての診療報酬をすべて定めているため、問診や対話が軽視される傾向があるという構造の問題も大きい。この点は、「ザ・リバティ」9月号(30日より全国書店で発売)の記事「患者を"卒業"させる病院を目指せ」で指摘しているので、ぜひお読みいただきたい。

中国 格差が深刻化(毎日新聞)

中国・北京大学中国社会科学調査センターが「トップ1%の富裕家庭が、全国の3分の1の財産を保有している」「最下層25%の家庭が保有する財産は全体の1%程度に過ぎない」という報告を公表した。同報告によると、2012年のジニ係数は、0.73とのこと。

⇒毛沢東回帰を推し進めている習近平国家主席だが、格差はますます広がる一方だ。すべての人の平等を目指して計画経済を推し進める共産主義の間違い、また、形を変えた共産主義である所得再配分政策の間違いにそろそろ気がつくべきだろう。また、ジニ係数は1に近づくほど格差が大きいことを示し、0.4なら社会不安、0.5なら社会暴動が起こるとされている。中国は社会暴動レベルを既に超えているが、事件があまり表面化していないのは、相当の情報操作か人権弾圧が行われていることも伺われる。(佳)

【関連記事】

2014年7月20日付本欄 【各紙拾い読み】家計を圧迫するのは、中電の政界対策資金より脱原発によるエネルギーコストの増加

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8151

2007年1月号記事 代理出産は幸福を生むか

http://the-liberty.com/article.php?item_id=405

2013年8月20日付本欄 統合失調症の患者が「薬漬け」になる理由は「霊的視点」が欠けているせい

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6512

2013年8月3日付本欄 中国の都市部の収入格差が242倍! 「機会の平等」を実現すべき

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6442