東京都議会でのヤジが、国内外のメディアを巻き込んで騒動となっている。

この問題は、東京都議会において、晩婚化対策、出産の支援体制等について一般質問をしていた塩村文夏都議に対し、鈴木章浩都議が「早く結婚したほうがいいんじゃないか」とのヤジを飛ばしたというもの。鈴木議員はヤジを認めて謝罪し、所属していた自民会派を離脱した。

一部の国内メディアは「女性軽視」「セクハラ発言」などとこの問題を大きく取り上げ、海外メディアも、日本の女性進出の現状に触れながら報じた。

イギリス紙ガーディアンでは、「女性議員が、性差別的な虐待を受ける」との見出しを掲げて報じ、同じくイギリス通信社のロイターは、「日本は職場の性差別は当たり前」「女性はお茶くみを要求される」と日本の労働環境の実態を問題視。アメリカ紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は、塩村議員の単独インタビューを実施した。

鈴木議員のヤジは、結婚や出産をしたくても、さまざまな事情でできない女性たちの気持ちを傷つけたことは確かだろう。政治家の言葉として、品性に欠けていたとの謗りは免れまい。

とはいえ、女性議員の側も、「セクハラだ」とあまりに言い立てるのもいかがなものか。

塩村議員は、「(子供を)産めないのか?」といったヤジもあったとして、さらに追及する構えのようだが、この「産めないのか」については、塩村議員と同じみんなの党に所属する議員も「聞こえなかった」とブログで述べており、音声記録にも残っていない。

ヤジの問題を騒ぎ立て、都議会で議論すべきことが後回しになれば、そちらの方が問題だ。

日本においてはまだまだ女性の力が生かされていない面もある。上場企業の管理職に占める女性の割合は4.9%に過ぎない。女性だからといって社会で活躍するチャンスが与えられないのはフェアではなく、国家にとっても損失だ。

だが、女性の立場から見ても、今回のヤジを「働く女性への差別」だとする風潮には少々違和感を覚える。もちろん、男性側の理解も必要だが、女性側も圧倒的に男性中心の社会の中に入って道を開いていくならば、それなりの覚悟と公の意識を持たねばならない。

第一次安倍内閣で少子化担当相を務めた高市早苗氏は、「子供を産んだことがないのに、少子化担当相が務まるのか」との批判を浴びた。高市氏は不妊症とのことだが、こうした心ない批判にも「なにくそ」と職務にまい進したという。

イギリスのサッチャー元首相は、旧ソ連が蔑みを込めて名付けた「鉄の女」のニックネームを、逆に自分を表すフレーズとして、好んで使うという懐の深さを持っていた。フォークランド紛争の際には、開戦に反対する閣僚に「この内閣に男は一人しかいないのですか!」と言って黙らせたというエピソードもある。

言葉による批判には言葉で切り返す。厳しい叱責や批判には成果で返す。これは男女関係なく、仕事で成功する上で大切な心構えだ。塩村議員に都民を代表するリーダーの自覚があるなら、海外メディアまで巻き込んでヤジをセクハラと騒ぎ立てることなく、本来の職務にまい進し、働く女性の手本を見せてほしいものだ。(佳)

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