集団的自衛権の行使容認や憲法改正などを目指す安倍晋三首相の政治姿勢は、欧米の識者を中心に批判されてきた。米ニューヨーク・タイムズ紙が安倍首相の就任直後の2013年1月、「右翼の国家主義者」と題した社説を書いたほか、安倍首相を「ヒトラー」「軍国主義」などと批判する声も鳴り止まない。中国が日本の国防強化を批判する際にも、同様の表現が使われてきた。

一方で最近、安倍首相への見方を見直す声も上がっている。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の教授で、経済学者のノア・スミス氏は11日、「安倍首相は世界最高のリーダー」と題したブログ記事をブルームバーグに執筆した。

自らを「安倍への転向者」と呼ぶスミス氏は、これまで安倍首相については「単に平和憲法見直しを目指す歴史修正主義者で、世論の支持を得るために円安を進めようとし、金融緩和をしており、日本経済を無視している」と考えていた。しかし最近、その見方がまったく間違いだったことに気づいたというのだ。

その理由の一つは、金融緩和で日本の株価が上がるなど、アベノミクスの効果が現れているからだ。スミス氏は10年前まで日本に暮らしていたが、当時は「不可能」と聞いていた女性の活用に実際に動き出していることも高く評価。他にも、法人税減税やTPPへの参加、移民の受け入れを打ち出していることなど、アベノミクスの成長戦略に期待を寄せている。

もう一つは、最近日本が、南シナ海で中国の危機にさらされる東南アジアの国々のために立ち上がっているということだという。実際に5月末に開かれたアジア安全保障会議でも、安倍首相は中国を念頭に置いた「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動き」を批判しており、安倍首相が掲げる積極的平和主義にはASEAN諸国からの支持が集まっている。

スミス氏は、「安倍は、進歩的な国際主義者で、法の支配や公海航行の自由などを守っている」「過去25年間で初めて、日本が国際社会のトップになれそうに見える」と、高く評価している。

日本国内でも、集団的自衛権の行使容認は「中国を刺激するのではないか」と議論されている。しかし、日本やアジアが中国の脅威にさらされる状況の中、東南アジアの国々が日本の集団的自衛権の行使容認、憲法9条改正を求めている。こうしたことから考えても、日本は決して軍国主義を目指しているのではなく、平和を守ろうとしていることが分かるだろう。欧米から、日本への正当な評価がなされていることは大変心強い。(晴)

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