民主化を求める学生たちを、中国政府が戦車でひき殺すなどして弾圧した天安門事件が起こったのは、25年前の6月4日だ。この事件があった事実を後世にも伝えて行こうと、香港の市民団体がこのほど、香港に「天安門事件記念館(六四記念館)」を開設した。

「六四記念館」は、事件について知らない若者たち、そして、民主化運動の意義を語り継ぐために、香港の民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」が開設した、初めての常設記念館。館内には、当時、天安門に設置された「民主の女神像」の複製、事件の年表や本、記録映像などが展示されている。

中国本土では、この事件について触れることはタブーであり、若い世代の多くは存在すら知らないというが、今回は、比較的議論する自由が残された香港で、記念館が開設されるに至った。同連合会は、将来的に、北京での記念館の設立を目指している。

香港は1997年、イギリスから中国に返還される際に「一国二制度」が取られ、中国本土に比べて、多くの自由が認められる予定になっていた。しかし近年では、当局によるメディアへの規制や、2017年に行われる政府トップの行政長官選挙への介入などが強まっている。

今回の記念館の開館の際も、アメリカ在住の中国民主活動家・楊建利氏が、記念館訪問のために香港に入ろうとしたところ、空港で当局に入境を拒否されるなど、当局は天安門事件から25周年に向けた民主化運動の高まりを抑えようと躍起になっている。

さらには、中国政府に批判的な言論を発信してきた女性ジャーナリスト高瑜氏が4月24日から行方不明になっている。高氏は同26日に香港で開催された天安門事件に関する集会に参加する予定だったが、そこに姿を見せなかったばかりか、連絡も取れないという。

また同30日には、中国の自治区になっている新疆ウイグルの区都ウルムチで、爆発事件が起き、約80人が死傷した。27日から30日にかけて、中国の習近平・国家主席がウイグルを視察していたタイミングを見計らった、ウイグル人によるものと見られている。ウイグルでは、当局の人権弾圧が激しく、人々の不満はピークに達しているようだ。

香港でも、ウイグルでも、武力や恐怖による支配で、人々を押さえつけている中国政府だが、「自由」を求める人々の心を押さえつけることはできない。そしてまた、中国国内に広がる、自由を求める声に対して、国際社会は無関心でいてはならない。(飯)

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2013年1月2日付本欄 香港で13万人の民主化要求デモ 自由を求める心は止められない

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2012年6月6日付本欄 弾圧が続く自由なき中国 天安門事件から23年

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