小保方晴子氏のSTAP細胞に関する論文を「ねつ造」などと判断した、理化学研究所(理研)の調査委員長を務めていた石井俊輔氏が、自身の過去の論文に不正があったという批判を受け、25日、委員長を辞任した。石井氏の論文に対する指摘は、自身が責任者として発表した2004年と08年のがんに関する2つの論文において、画像の「使い回し」と「切り貼り」があったというものだ。

石井氏がトップを務めていた理研調査委は今月1日、小保方氏の論文に使われた画像に「使い回し」と「切り貼り」の「不正」があったという判断を示したばかり。今回の辞任に際して、石井氏は「このような状況で委員長を続ければ(理研に)迷惑がかかる」というコメントを発表した。

だが一方で、石井氏は、論文に使ったデータは揃っており、新たに切り貼り部分を明示して報告するなどの措置をとれば不正には当たらないとして、自身の論文の正当性を訴えている。

この石井氏の騒動に関して、小保方氏の代理人である三木秀夫弁護士は、報道陣に対して「(結論に影響のない説明的な部分を)自身で訂正をして差し替えるということは、小保方もしているし、石井委員長もされた」と指摘。その上で、改めて「(小保方氏の論文を)改ざんであるとか、悪意による研究不正であるとかいう断定はおかしい」と語った。

つまり、小保方氏も、石井氏も、「改ざん」や「ねつ造」ではなく、まちがった部分を訂正すればいいだけの単純な「ミス」なのである。

小保方氏の場合、画像の「使い回し」は、誤って「取り違えた」ものであり、意図的な改ざんではない。また、「切り貼り」そのものは科学的条件を満たせば、生物学では一般的に認められるものであるとされており、小保方氏の論文はその「条件」を満たしていたとされている。ただ、「切り貼り」をしたことを明示する記述が論文になかった点に不備があったことは小保方氏も認めている。

また、弁護士も指摘するように、小保方氏の論文で指摘を受けているのは、あくまで「説明部分」なのであって、「結論部分」ではない。したがって、以上のような指摘をもってしても論文の功績全てが否定され、「STAP細胞が存在しない」ということにはならない。

いずれにしても、理研やマスコミは生物科学にとって大きな可能性を秘めるSTAP細胞研究の芽を摘みとるような態度を改めるべきであり、日本社会全体としても、優秀な若き研究者の出現を歓迎し、暖かな目で見守り育むような精神的土壌を形成する必要がある。

(HS政経塾 西邑拓真)

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