アメリカの企業研究者らが、成人男性の皮膚細胞のDNAを受精していない卵子に注入することで、その成人のDNAと完全に一致するヒトクローンES細胞を作製することに成功したと、17日発刊の米セル・ステムセル誌で発表した。

2004年にも、韓国ソウル大のファン・ウソク教授が、ヒトクローンES細胞の作製に成功したと発表したことがあったが、後に捏造と判明している。今回の研究は、昨年5月、米オレゴン健康科学大学の立花真仁研究員らのグループが、胎児のDNAを卵子に注入することで作製に成功したことがもとになった。研究グループは、立花氏らの論文に掲載されたものと同様の手法で実験を行ったが、成人の細胞から取り出したDNAを使ったのは初めてだ。

今回、研究グループは、作製したヒトクローンES細胞を、心臓など臓器の細胞に分化させることに成功。臓器移植でしか治らない病気の患者に、拒絶反応が起きない組織を移植する治療につながると期待されている。通常のES細胞は、そのまま細胞分裂すれば人間に育つ受精卵を壊して作るというメカニズムが倫理的な問題となっているが、ヒトクローンES細胞ではそれを回避できる。

再生医療で注目されるのは、クローン人間の作製につながるかどうかだろう。しかし、現在の技術では、ヒトクローンES細胞核を子宮に戻しても、クローン人間は誕生しない。日本をはじめ、多くの国ではクローン人間の作製も法律で禁じられている。

一方で、このまま研究が進めばクローン人間をつくることが技術的に可能になる日が来ることも否定できない。「生命の誕生」という神の領域に科学が踏み込んでいる以上、生命倫理の問題についてはさらなる議論が必要となるだろう。

新たな問題は次々と生じているが、これまで治らないとされてきた病気を治療する道を開く再生医療の研究は、人類にとって非常に重要だ。今後、ES細胞の研究とともに、受精卵や卵子がなくても作製できるiPS細胞やSTAP細胞の研究も、積極的に推進していくべきである。

余談になるが、昨年5月に発表された前述の立花博士らの論文には、画像の取り違えなど「小さなミス」(セル誌)が見つかった。同論文の責任者でオレゴン健康科学大学のシュフラート・ミタリポフ教授は「悪意のないミス」が起きたと説明。結論に影響がなかったことから、同大とセル誌は修正することで合意した。このとき、iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥博士は、「ミスはない方がよいが、起きてしまうこともある」とコメントしていた。

この時の取り違えの内容は、「クローン技術によるES細胞」とされた顕微鏡写真が、別のページで「一般的なES細胞」と説明されたり、異なる研究の結果に同じデータが使われたなど、現在問題になっているSTAP細胞の論文における小保方晴子氏のミスと同じレベルだったとも言える。それでも「不正」が行われたという調査結果が出されたり、論文が撤回されるという事態には至っていない。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『小保方晴子さん守護霊インタビュー』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『「嫉妬・老害・ノーベル賞の三角関数」 守護霊を認めない理研・野依良治理事長の守護霊による、STAP細胞潰し霊言』大川隆法著

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