米財務省高官は、日本が消費税を8%に上げたことについて「急激な財政再建を避ける必要がある。国内の消費を拡大するために、大胆な構造改革を行うべきだ」と、電話での記者会見で語った。9日付東京新聞などが報じた。

同記事は、日本が10%への消費増税を予定していることについて、米政府が慎重な判断を求めていると指摘する。消費増税で日本の消費が冷え込むことで、回復しつつあるアメリカ経済に悪影響が出るという懸念からである。

実際、消費増税を理由に、国際通貨基金(IMF)は日本の今年のGDP成長率予想を1月時点の1.7%から1.4%に下方修正した。日本国内には、すでに8%への増税に対応できずに倒産した企業も出ている。

これまで、アメリカを始めとするG20などでは、日本の1千兆円を超える国と地方の借金に懸念を示し、「日本は信頼に足る中期財政計画を策定すべき」と財政健全化を強く求めてきた。2011年11月のカンヌでのG20で、野田佳彦首相(当時)が消費増税について「2010年代半ばまでの10%引き上げ」を明言し、消費増税が国際公約のようになってしまったのもそのためだ。今回の米高官の発言は、これまでのそうした流れに「待った」をかけた形となる。

日本の消費増税の背景には、こうしたG20の国々からの財政健全化の要請や、欧米諸国に比べて日本の消費税が低いとされていることがあったが、今回、その根拠が一部、崩れたことになる。他国の主張は変わるものだが、そもそも、日本人は消費税と“相性"が悪い。

大川隆法・幸福の科学総裁は、日本人と消費税の相性について、著書『幸福実現党宣言』で次のように指摘している。

「私は基本的に、『日本人の考え方を消費税中心に変えていくのは、なかなか難しいだろう』と考えています。日本の歴史を見ると、徳川吉宗のように、緊縮財政や質素倹約を奨励する政策を行った人の名前はよく遺っています」「こういう文化が根強くあるのを見ると、日本に消費文化を根づかせるのはそう簡単なことではないと思います」

日本では、他国以上に、消費税が消費に与えるマイナスの影響が大きいということだ。

今回の米高官の発言は、世界経済を買い支えてきたアメリカからの、日本にも頑張ってモノを買い、世界経済を支えてほしいというメッセージのようにも見える。日本は、10%への消費増税を止めて消費を拡大し、リニア新幹線開通の前倒しや原発の早期再稼働などとも合わせて、経済成長を推し進めるべきだ。日本の消費拡大と経済成長は、日本一国のためだけのものではない。(居)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『幸福実現党宣言』 大川隆法著

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