中国の新疆ウイグル自治区などの民族研究で知られる、神戸大学国際文化学部の王柯(おう・か)教授が、中国を訪れたまま行方が分からなくなっていることを、23日付産経新聞が報じた。

昨年7月には、東洋学園大学の朱建栄(しゅ・けんえい)教授が上海で消息不明となり、その後、中国当局に身柄を拘束されていることが判明。半年後の今年1月に解放されたことが話題になったばかりだ。果たして今回も、中国当局が関与しているのか否か。

同紙によると、王教授は今月1日に「出張」として出国。10日に日本に戻る予定だったが、同日、日本にいる家族に電話があり、西安にいる母親の具合が悪くなって、様子を見に行くので、10日ほど帰国が遅れることを告げた。それを最後に連絡が取れなくなっている。

だが、家族が王教授の母親に電話すると、母親は元気にしており、19日に相談を受けた大学が連絡しても、携帯電話の電源が切れた状態という。

王教授は、1989年に日本に留学し、東京大学大学院の総合文化研究科博士課程を修了。東大教養学部の非常勤講師や神戸大学の助教授を経て、現職にいたる。中国や中央アジアにおけるイスラム系民族の歴史を研究しており、96年には、著書『東トルキスタン共和国研究』で、サントリー学芸賞を受賞している。

東トルキスタンとは、現在の新疆ウイグル自治区にあたる。このウイグルをめぐっては、昨年10月末の天安門前での車両炎上事件でも話題になったように、中国政府による言論や宗教の弾圧が激しさを増している。

ウイグル人の不満の高まりを逆手にとったのか、中国政府は今月1日、雲南省昆明市で起きた、無差別殺傷事件を「ウイグル独立派の犯行」と断定。事件の真相はいまだ明らかになっていないが、そのウイグル民族の研究で知られる王教授が、このタイミングで姿を消した背景に、中国当局が関与していると疑われても仕方がないだろう。

だが、朱教授を含め、いとも簡単に知識人の行方が分からなくなる国というのは、どう考えても危険だ。人権活動家などが頻繁に逮捕・投獄される中国では、当たり前のようにも感じてしまうが、同じようなことが、日本やアメリカで頻発していると考えれば、大変な問題である。

日本はいま、南京大虐殺などのねつ造された歴史で、中国から罵声を浴びせられている。だが、現在ただいま中国で起きている人権侵害・弾圧について、日本はもっと国際社会に訴えるべきだ。そうして、「現代のナチス」が中国共産党政権であることを明らかにし、国際社会に「何が正しいか」を問いかけていく必要がある。(格)

【関連書籍】

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幸福の科学出版 『中国と習近平に未来はあるか 反日デモの謎を解く』 大川隆法著

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