2014年5月号記事
確実に売れるマイクロヒット戦略
消費税8%を迎え撃て!
超実践編
第1部 97年の再来? 日本経済は立ち直れるか
本誌p.26インタビュー 田村秀男
消費増税は愚策 アベノミクスは日本再生ビジョンを示せ
第2部 マイクロヒット戦略 超実践編
本誌p.30インタビュー 廣瀬知砂子 マイクロヒット戦略で黒字商品を増やそう
本誌p.37インタビュー 辻井啓作 裏づけのある値上げは企業も顧客も幸せにする
日本を脱デフレに導くと期待されたアベノミクスは消費増税で大きな曲がり角を迎え、日本経済の先行きは極めて厳しいと予想される。しかし、どんなに景気が悪くても成長する企業はある。具体的な事例を紹介しながら、練り込んで作った商品やサービスを、ねらいを定めて確実に売る新たな戦略を提案したい。
(編集部 近藤雅之、河本晴恵、山本慧)
contents
第1部
97年の再来? 日本経済は立ち直れるか
「1997年の増税時は売上げが半分近くにまで落ちました。利益はまったく出ず、取引先の銀行には『赤字でもいいから売ってくれ、お金が回れば潰れない』と言われる始末。私は家業を継ぐのを断念しました。それからさらに8%に増税するなんて、政府は民間の苦労が分からないのでしょう」(金沢市在住の元小売業の40代男性)
4月1日から、いよいよ消費税率が5%から8%に引き上げられる。新聞やテレビでは、「生活にしわ寄せがくる」「脱デフレが遠のく」「これで社会保障を維持できる」など、様々な見方が出ている。
これまで本誌は、 デフレ下における消費増税は、日本経済に致命的な打撃を与えると、繰り返し警鐘を鳴らし続けてきた。 デフレとはモノやサービスの値段が下がること。企業の儲けが減り、働く人の給料が減り、さらに消費しなくなり、またモノやサービスの値段が下がる状態だ。そこで増税すると、ますます消費が冷え込み、倒産・リストラの嵐を起こしてしまう。
増税の危険性については、一部の経済学者や評論家たちも指摘してきた。だが、民主党政権下で野田佳彦前首相は、2009年のマニフェストに明記した「4年間は消費増税しない」という公約を一方的に破棄して、消費増税法を可決。同法には景気の様子を見て判断する「景気条項」が盛り込まれていたが、安倍晋三首相は昨年10月、財務省の振り付けや、それに同調する大手マスコミの圧力に押し切られる形で、8%の増税に踏み切った。