韓国労総と民主労総の集まりである共同対策委員会は、李明博前大統領と李政権の高官ら5人が背任罪などにあたるとして、ソウル中央地方検察庁に告発状を提出した。同委員会は、「李明博前大統領ら5人は、収賄などの経済犯罪を取り締まる『特定経済犯罪加重処罰法』に違反し、職権乱用と背任などで公共機関の負債を増大させた『公共機関負債5賊』である」と批判している。

韓国の民営通信社ニューシスが、11日付記事で報じた。

同委員会は、李政権が203兆ウォンの負債を新たに増大させ、そのうち153兆ウォンは、発電所建設や河川開発、ガスや石油の海外資源開発などによると試算。また、残りの50兆ウォンに関しても、「奨学金財団の負債増加などが要因」とし「正常化政策のどこを調べても、こうした政策の失敗に責任を取るという言及はなく、解決方策にも政府次元の措置は言及されていない」と非難したという。

韓国の歴代大統領は、謎の死を遂げたり、逮捕されたりなど悲惨な運命をたどることが多い。李承晩はハワイへ亡命し、朴正煕は暗殺され、盧泰愚は不正蓄財で逮捕された。すでに李明博氏の実兄である李相得が、政治資金法違反で逮捕されたことを受けて、日本のネットユーザーの間では、李明博本人にも警察の手が及ぶのではと話題になっていた。

だが、李明博らが犯罪行為をしているならば告発はやむをえないが、今のところ具体的な犯罪行為は明らかになっていない。同委員会の言い分から判断すると、犯罪ではなく政策の失敗と言うべきであり、政策失敗のツケを政権関係者になすりつけようとする今回の告発は、お門違いと言わざるを得ない。為政者の政策結果を、国民が甘受するというのが民主主義の根幹であり、今回の告発は、前近代社会と言える復讐文化が韓国に根強く残っていることを表している。

韓国の委員会の論理を日本に置きかえてみると、民主党政権のマニフェスト違反は、国民に対する"背任罪"そのものと言えるが、日本の場合は、民主党政権にNOを突き付けることで、野党に下野させた。これが成熟した民主主義であり、国際常識である。

今回のような告発をする韓国は、本当に民主主義国家なのかと国際社会から疑念が湧くであろう。韓国は、西側諸国の制度を導入しているものの、その運用は復讐文化の影響を受けている。韓国が真の意味で民主化を果たしたいのであれば、そうした醜い文化を捨て去らなければならない。(慧)

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2014年3月号記事 救韓論 韓国が「近代化」する5つの方法

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