文部科学省は28日、中学・高校向け学習指導要領の解説を改定し、「尖閣諸島と竹島は我が国固有の領土」と明記するなど領土に関する記述を増加させる方針を発表した。

29日付朝日新聞は、「執筆の自由度が低下」と見出しを付け、領土教育の強化に否定的な記事を掲載した。その中で、「子供の見方が一面的にならないよう、歴史的経緯を踏まえ、今まで以上に様々な立場に注意して教えなければ」「教育の目的は、様々な立場を理解して問題を解決する能力をつけること。『中韓がけしからん』というだけでは対話の力につながらない」などと、現役教諭の不安の声を取り上げた。

一方、同日付読売新聞は「尖閣諸島や竹島について言及した教科書が増えてきたとはいえ、いまだに記述がない教科書も一部に残っている」と従来の教育内容を問題視し、政府見解に基づき、領土教育を強化することは当然だと主張している。国益を守る観点からして、領土教育強化は必要不可欠なものだ。

日本は今まで中韓の主張に配慮し、領土問題を明確に取り上げることを避けてきた。きっかけは1982年、いわゆる教科書問題で中韓から批判を受け、「近隣諸国条項」を定めたことにある。その内容は、教科書検定基準に「近隣アジア諸国との友好と親善を進めるために、歴史的事象の扱いについて配慮すること」というものであり、政府は今も継承している。

条項を導入して以来、一部教科書に「南京事件の犠牲者が30万人」とねつ造に輪をかけたものや尖閣諸島や竹島について記述がないものが検定に合格するなど、もはや配慮の範疇を越え、中韓寄りの教科書と化している。

今回、固有の領土との明記がなされる方針が出たが、こうした“改善"に留まらず、近隣諸国条項自体を撤廃するべきだ。歴史教育の内容を他国に決められるなど、主権国家としては本来ありえない。

近隣諸国条項を継承している限り、自虐史観を持ち、国を愛せない日本人を育て続けることになる。中韓との教科書問題に終止符を打つには、条項を即座に撤廃した上で、領土教育を力強く推進し、自虐史観を払拭した日本に生まれ変わる必要がある。(慧)

【関連記事】

2013年4月12日付本欄 安倍首相が教科書検定の見直しに意欲 自虐史観を脱して日本を守れ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5877

2014年1月20日付本欄 英に続き米でも日中大使の言論戦 “言い返す"日本を目指せ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7236