アメリカの世論調査機関、ビュー・リサーチ・センターが、2013年に行った進化論に関する調査結果を発表した。それによると、アメリカ人の33%進化論を受け入れておらず、人類は誕生時から今の姿だったと考えているとのこと。また24%の人は、人間の進化は神によって導かれたと信じていることが明らかになった。

逆に、「人間は類人猿から進化してきた」というダーウィンの進化論を信じる人は、調査対象の32%にとどまった。

同様の調査は2009年にも行われたが、今回の調査では、支持政党と進化論を信じる人の間に強い関連性が出たという。

2009年には、共和党支持者の54%、民主党支持者の64%が進化論を信じていると答えているが、2013年調査では、進化論を信じる人の割合は、共和党支持者では43%、民主党支持者では67%となった。

共和党支持者には、伝統的、保守的な宗教観を大切にする層が多いことから、今回の調査結果は、熱心なキリスト教徒が進化論の広がりに抵抗しているものと解釈できる。

アメリカでは、公立学校で進化論を教えることに反対する勢力と、擁護する勢力の間で争いがあり、長く政治的な論争となっている。

宗教にある意味"無頓着"な日本ではそれほど問題にはならないが、熱心なキリスト教徒にとっては、ダーウィンの進化論は唯物論・無神論に与することであり、神への挑戦である。

この調査について、日本のネットでは、「日本なら9割以上、進化論を信じるだろ」と、アメリカの"非科学的"な姿勢を揶揄する書き込みと共に、「たかが数万年前に人間はサルやチンパンジーだったのか?」「サルと人を結び付ける中間種の化石が見つかってないんだろ?」と、進化論への疑問の声も見られる。

宗教が科学の発展や進歩を阻害することがあってはならないが、ダーウィンの進化論はまだ仮設に過ぎず、科学的検証に耐えうる理論とはなっていない。

例えば、サルが偶然の積み重ねによって進化するなら、進化の途上にある「中間種」がいなくてはおかしい。また、人間にはサルにはない言語能力や思考能力があるが、偶然にこうした能力が生まれるのかという疑問に答えていないのだ。

宗教と科学をつなぐ理論として「インテリジェント・デザイン(ID)」という考え方がある。この理論は本誌2月号でも紹介したが、1990年後半よりアメリカの科学者の間から起こったもので、「自然界に起こっていることは、偶然の連続のようなものだけでは理解できず、より高次な存在が何らかの構想や意図をもって設計している」という考え方だ。

アインシュタイン、ニュートン、エジソンなど、超一流レベルの科学者は、神や霊界の存在を信じていた。人間の存在や宇宙を科学的に探究すればするほど、偶然の産物とはとても思えなくなるからだろう。

幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、2012年の1月に、進化論の提唱者であるダーウィン、ウォーレスの霊言を収録した。そこでは、神や霊魂の存在を肯定していたウォーレスと、物質的な変化のみに着目したダーウィンの境涯の違い、視野の違いが明らかになった。

ここでウォーレスの霊は、地球環境に適応し、変化するという進化論的要素を認めながらも、霊肉において大きな進化を遂げる際には、神と呼ばれる存在の創造行為が関わっていることを述べている。

人間は偶然の産物ではない。人間の肉体と魂の創造に神が関わっているなら、「魂の親」を否定する進化論を受け入れられないということは、人間の本能に基づくものといえるかもしれない。(佳)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『進化論―150年後の真実 ダーウィン/ウォーレスの霊言』 大川隆法

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=775

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