「インドネシアでの慰安婦の連行」について、朝日新聞が今年の夏に、現地の女性に行ったインタビューを紹介している(28日付朝日新聞)。10月13日付の紙面で、慰安婦問題は、韓国だけでなくインドネシアなどにもあったと報道した続報だ。

記事では、主に2人の女性について、インタビューと周辺取材を取り上げている。1人は戦時中、男2人に日本軍のテントに連れて行かれ、3カ月後に解放されるまで、慰安婦にされたという。連れて行った2人の男については、インドネシア語ではない言葉を話していたことで「日本兵だと思った」と証言する。もう1人の女性は、製糸工場で働いているときに男に腕をつかまれて連れ去られ、性被害を受けたという。こちらも、「インドネシア人の顔つきではなく日本兵だと思った」と話している。

また、取材班は、女性が連れて行かれたと証言する場所について、古くから近隣に住む男性の証言として、「昔、ここにはたくさんの日本兵がいた。大きな基地だった」と紹介し、「建物跡は見つからなかったが、日本兵がいたという裏付けになる証言だ」と結論づけている。

いずれの証言も、強制的に連れ去ったのが「日本軍」であったかどうかはもちろん、「日本人」だったかどうかさえも推測である。戦時中に辛い思いをした人がインドネシアにも存在したことは否定しないが、証拠がなく、証言も曖昧なのに、日本軍が慰安婦を強制連行したとしているのは問題がある。

インドネシアで慰安婦の問題が大きく取り沙汰されるようになったのは、東京で活動する弁護士の高木健一氏の動きがきっかけだ。慰安婦問題に詳しい藤岡信勝・拓殖大学客員教授は、こう指摘している。

「高木はインドネシアを訪問し、地元紙に『補償のために日本からやってきた。元慰安婦は名乗り出て欲しい』という内容の広告を出した。このことが、『慰安婦は名乗り出れば二百万円の補償金がもらえる』という話として伝わった。インドネシアで二百万円といえば日本円で二億円に相当し、数世帯が一生遊んで暮らせる額である。当然ながら、希望者が殺到してパニックになった。実に二万二千二百三十四人もの人々が『慰安婦被害者だ』と名乗りを上げた」(『WiLL』2013年9月号)

当時インドネシアにいた日本兵が約二万人であったことを考えると、名乗り出た人々全員が慰安婦であるとは考えにくい。高木氏は90年代、元社民党党首で弁護士の福島瑞穂氏らと共に韓国で元慰安婦を募集し、戦後補償請求訴訟の弁護人をつとめている。インドネシアでも韓国のケースと同様の手法を使い、従軍慰安婦問題を盛り立てているのだ。

確実な証拠がないにもかかわらず、あたかも日本軍が極悪非道の行いをしたかのような朝日新聞の報道は、意図的に日本をおとしめているとしか思えない。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『神に誓って「従軍慰安婦」は実在したか』 大川隆法著

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