モンゴルのエルベグドルジ大統領が先月末の訪朝時に、平壌の金日成総合大学での演説で「どのような暴政も永遠には続かない」と発言していたことが分かった。モンゴル大統領室が15日にウェブ上で演説内容を公開し、韓国メディアが報じた。

エルベグドルジ大統領は当初、北朝鮮の金正恩第一書記と会談すると見られていたが、会談は実現せずに大統領は帰国している。金日成総合大学での演説テーマは北朝鮮側が提案したもののようだが、16日付の韓国紙・朝鮮日報(電子版)は、この演説が金第一書記との会談不成立につながった可能性に言及している。

演説で大統領は、モンゴルが人権を尊重する国だと述べた上で、自由の大切さについて次のように語った。

「自由は、それぞれの人が自らの発展の機会を見つけ、実現できるようにしてくれます。自由は、人間社会を進歩と繁栄に導くのです」

その上で「他人のどんなに優しい選択より、どんなに辛くても自分の選択で生きる方がいい」というモンゴルのことわざを紹介。「どのような暴政も永遠には続きません。自由に暮らしたいという人々の望みこそが、永遠の力なのです」と述べた。演説終了後は、大統領が退場するまで拍手が鳴り止まなかったという。

ジャーナリスト出身のエルベグドルジ大統領は、共産党独裁下のモンゴルで民主化運動のリーダーを務め、共産党支配が終わった1990年には「民主主義」紙を創刊し、編集長となった。政界入りの後は国会議員を4期務め、首相などを歴任し、2009年に大統領に就任した。

中国包囲網づくりを進めたい日本にとって、中国の隣国であるモンゴルとの関係強化に取り組むことは、大きな意義を持つ。日本は自由と民主主義を共通項に、北朝鮮という世界最悪の独裁国家でも自由の大切さを高らかに宣言したエルベグドルジ大統領のモンゴルと、関係強化を急ぐべきだ。

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