スペイン最高裁はこのほど、「チベットでの大虐殺に胡錦濤前国家主席が加担していた」との訴えについて審理を始めると決めた。訴えたのはスペインのチベット人権団体。メンバーのテゥブテン・ワンチェン(Thubten Wangchen)氏がスペイン市民であることから、訴状が受理された。
胡錦濤氏は1988年から1992年の間、チベット自治区の共産党委員会書記を務めている。訴えは、中国がチベットで行った「チベットの国としての統一性や存在の消去」「軍法の押し付け」「国外追放」「集団不妊化手術」「反体制派の拷問」などの人権侵害について、胡錦濤氏に全面的に責任があるというものだ。
スペインの法律は、普遍的な正義の原則を認めていて、大虐殺の容疑者については、少なくとも1人がスペイン国民であれば、国外のことであっても裁判にかけることができる。スペイン最高裁の行動は、世界に対して中国の人権侵害を許さないというスペインの姿勢を示すことになるだろう。
中国外務省は14日、スペイン最高裁の決定に対して非難声明を出した。報道官の華春瑩(か・しゅんえい)氏は「中国とスペインの大変親密な(extremely friendly)関係を壊そうとするもの」「内政干渉をしないように」と反発。チベット人権団体に対しては「中国政府を攻撃しようという政治的な悪意があるのは明らか」などと発言している。
しかしチベットでは、これまでに120人以上の僧侶が焼身自殺をしている。それ以外に国際社会に訴えるすべがないためだ。国際社会が介入しない限り、チベット問題での中国の人権侵害、大虐殺は解決することはないだろう。
10月22日には、国連人権理事会の普遍的・定期的レビュー(UPR)で、中国の人権政策が審査される。各国が中国を批判するチャンスではあるが、同理事会の勧告には拘束力がないため、中国がその批判に従うとは考えにくい。
チベットなどで横行している中国による侵略行為や大虐殺を止めるには、今回のスペインの事例のように、各国が中国を明確に批判し続ける必要がある。そのなかで日本は、経済力や防衛力を強めながら、正義とは何かを打ち出すことができる世界のリーダー国へと成長していく必要がある。(晴)
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