ノーベル賞の発表が8日に始まり、医学生理学賞、物理学賞、化学賞の科学分野の発表が終了した。残念なことに今年、日本人の受賞はなかったが、受賞した研究における日本の貢献が注目されている。

今回、最も注目を集めたのは物理学賞で、このほど存在が証明されたヒッグス粒子を予言したイギリスのピーター・ヒッグス氏とベルギーのフランソワ・アングレール氏に贈られた。ヒッグス粒子は、すべての物質に質量を与えるもの。素粒子や光がどのように相互作用するかを矛盾なく説明している物理学の基本法則である「標準理論」のなかで唯一未発見だった。

実は、このヒッグス粒子の理論は、2008年に同賞を受賞した南部陽一郎氏(現在はアメリカ国籍)の「自発的対称性の破れ」についての研究を発展させたものだ。ヒッグス氏がヒッグス粒子についての論文を専門誌に投稿したのは1964年のことだが、当初は理解されず、却下された。修正して次の雑誌に投稿した論文を審査した南部氏がその内容を理解し、助言を加えたことで、ヒッグス氏の論文はついに日の目を見た、という経緯がある。

現在、ヒッグス粒子の国際研究チームは数千人で構成されているが、100人以上からなる日本の研究チームも大きな貢献をした。日本チームは、膨大な粒子のデータの中からヒッグス粒子を見つけ出すための分析を担い、発見につながる解析に成功したのだ。

また、ヒッグス粒子を検出する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の部品には、日本の浜松ホトニクスや東芝、古川電気工業製のものが使われている。浜松ホトニクスは、2003年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏らが研究で使ったスーパーカミオカンデの検出機を作ったことで有名だ。

ノーベル賞の影に日本の技術力あり、ということだ。

日本は素粒子分野の研究で、湯川秀樹氏や小柴氏らをはじめ、ノーベル賞受賞を数多く輩出しており、世界でも第一級のレベルだと評価されている。2008年以降、素粒子分野での受賞が出ていないため「そろそろ」との声も上がっている。改めて、日本の研究レベルの高さに自信を持ちたい。

ヒッグス粒子の存在自体は証明されたため、今後はその性質についての研究が進められる。ヒッグス粒子の性質が、「標準理論」を超えるものであると分かれば、物理学の新しい理論ができる可能性もある。たとえば、4次元以降の「余剰次元」「宇宙に存在する暗黒エネルギーの正体」などの解明にもつながってくると予想されている。

これまでの科学は、目に見えないものを否定する傾向にあったが、今後は、目に見えない存在の探究が科学のメインテーマになりそうだ。素粒子分野で世界をリードする日本が、未来科学のリーダーとなる日も、そう遠くないかもしれない。(晴)

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