国連の潘基文事務総長は26日、韓国外務省で行った記者会見で、日本政府に対し「正しい歴史認識を持ってこそ、他の人々から尊敬と信頼を受けられるのではないか」と発言した。国連事務総長が人道問題以外で対立する二国の一方を非難することは異例で、「中立性を欠く行為」ではないかと波紋が広がっている。

潘氏は安倍政権の憲法改正や歴史認識の問題に関する質問に対し、「日本の政治指導者は極めて深く自らを省みて、国際的な未来を見通すビジョンが必要だ」と回答。日本政府は、潘氏の発言が事務総長及び職員の中立性を求めた国連憲章100条違反ではないかとの疑いで、潘氏に発言の意図を問い合わせる方針。今後、国連総会などで日本の立場を説明する予定だ。

これまでもたびたび、潘氏の様々な発言や行動が問題になってきた。たとえば2007年、台湾問題の国連見解として「台湾は中国の一部」と発言。同年、ワシントン・ポスト紙は国連の主要なポストに韓国人を起用していることから指揮命令系統が混乱し、内部の反発が相次いでいると報じている。

また、潘氏の国連事務総長としての能力に対しても、批判の声は鳴り止まない。

  • ニューズウィークは2009年6月に、「世界で最も危険な韓国人、潘基文」と題し、「核拡散の脅威や難民危機にも関心を示さない潘のおかげで、国連はあってもなくても関係ない存在に堕ちた」との記事を掲載した。
  • 国連内部監査部トップのインガブリット・アーレニウス元事務次長は、2010年に退任する際、潘氏に文書を送りつけ、「あなたの行為は嘆かわしいばかりか、真剣に非難されるべきだ」と批判。「戦略的指針と指導力の欠如」により、国連の地位低下を招いたと糾弾した。
  • 国際的な人権保護団体の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は2011年1月に発表した年次報告書で、潘氏が2010年に胡錦濤国家主席(当時)と会談した際、中国の人権問題に触れなかった点を問題視。「潘氏は、人権を抑圧する政府に圧力をかけることに特に消極的だ」と批判した。

最近のシリア問題に関しても、国連は26日、アサド政権の化学兵器使用の調査を実現したが、誰が使用したかの特定までは行わないなど、中途半端なものだった。アメリカとロシアの対立で、国際社会のシリアへの介入は遅れるばかり。その間に戦闘は泥沼化の一途をたどっており、潘事務総長の指導力・決断力不足は決定的なものになっている。

国連そのものが機能不全に陥り、世界の紛争解決に何ら貢献できていないのも、まだまだ文明国家とは言えない韓国から事務総長を出して、すでに6年半も経っていることが大きな原因だろう。事務総長のステータスを上げるためにも、選ぶ国や任期を検討し直すべきではないか。(晴)

【関連書籍】

国連改革について

幸福の科学出版『政治革命家大川隆法』大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=982

【関連記事】

2013年6月6日付本欄 【そもそも解説】国連の「敵国条項」って何?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6135