長崎市教育委員会は21日、7月に自殺を図って以降、意識不明の重体だった市立小学校6年の女子児童が死亡したことを発表した。この女児は、いじめられていたことが分かっている。5月には広島で市立中3年の女子生徒が、7月には名古屋市で中学2年の男子生徒が、いずれもいじめを苦に自殺したとみられている。

大津のいじめ自殺事件がきっかけで、6月に国会で「いじめ防止対策基本法」が成立したにもかかわらず、いじめ自殺の連鎖はいまだに止まらない。その原因は、教育界のいじめ隠蔽体質が改善されていないことにありそうだ。

今年3月に奈良の中1女子生徒が自殺した事件について、生徒の自殺後、通っていた中学で行われたアンケートでは、女子生徒が「ひざでおなかを殴られていた」「仲間外れにされ泣いていた」など、いじめられていたことを証言する記述が40件以上寄せられていた。それにもかかわらず、学校と教育委員会は生徒の自殺の原因は「家庭の問題」であるとして、いじめとの因果関係を低く見積もっている。

同法によって重大ないじめに対する調査や警察との連携は強化することになったが、学校や教育委員会がいじめを隠蔽したら、この法律も正しく機能しない。

つまり、今回の法律には「抜け道」がいっぱいあるのだ。いじめがあったことそのものを学校や教育委員会が隠蔽した場合は、そもそも法律の対象とならないのだ。最近のいじめ自殺の多発は、そのことを教えてくれる。

根本的には、学校が善悪に対する価値判断を明確にし、「いじめは悪である」と認識しなければ、いじめも、いじめ自殺も止まらない。教育界の隠蔽体質が改善されるまでは、いじめを隠蔽した学校や教育委員会を処罰する法律を制定する、といった厳しい対策が必要だ。(晴)

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