いわゆる「インターネット依存症」の中高生が、全国に推定約51万8000人いることが、このほど厚生労働省研究班の調査でわかった。

調査は全国の中高生14万人を対象に行われ、10万人の有効回答を得た。調査には「ネットに夢中になっていると感じるか」「使用をやめようとした時、落ち込みやイライラを感じるか」など8項目の質問があり、そのうち5項目以上に当てはまると、ネットの「病的」な使用者と認定される。今回、回答者の8.1%があてはまり、そこから今回の推定数が算出された。

「インターネット」はスマートフォンの登場でさらに身近になりつつある。YouTubeなどの動画配信サイトやfacebook、twitter、mixiといったSNSの登場により、娯楽の幅も増え、コミュニケーションや情報収集も便利さを増した。また、バーチャルな空間で他のユーザーと共にゲームを進行させるオンラインゲームもますます人気だ。実はこのオンラインゲームが、圧倒的に重度の依存症を引き起こしやすいという。

インターネット依存症の悪影響は多岐にわたる。画面の光で目が冴えてしまい、時間的にも質的にも充分な睡眠が取れなくなる。昼夜逆転を引き起こし、成績の低下につながる。また、寝食を忘れてゲームに没頭し、栄養失調になるケースさえあるという。人間関係にも大きなダメージを与える。コミュニケーション能力の低下や、改善を求める親への反発から始まる家庭内での不和などである。

治療するための最大の障害は「本人の自覚」だという。オンラインゲームなどでは同じ仲間がいるので、異常性に気づかないのが理由の一つ。そうすると、やはり鍵となるのは親であろう。まずはインターネット依存症の怖さを理解し、「予防」策を講じる必要がある。

今回の調査の中では、子供が没頭する前にネットの使用時間を制限するなどの指導が大切だとも指摘されている。また、早期発見にも努めたいところだ。遅刻や居眠りなどが目立ってきた場合、インターネット依存症の可能性があるという。発見したら「依存症」状態にあることを親子でいち早く受け入れることが大切であろう。

今回の調査で明らかになった数よりもはるかに多くの依存者がいるとも言われている。わが子は例外とは思わずに、対策を考える必要があるだろう。(光)

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