2009年からスタートした「裁判員制度」で、裁判員の心的外傷(トラウマ)を防ぐ取り組みが、東京地裁で1日から始まった。

裁判員制度とは、殺人や放火などの刑事事件の裁判に、裁判官に加えて、抽選で選ばれた民間人も有罪・無罪の判決や量刑の判断まで参加するものだ。

しかし今年5月、強盗殺人事件の被告への死刑判決に参加した裁判員の女性(60代)が、証拠品として見た死体のカラー写真などがフラッシュバックして心的外傷を負ったと国を訴えた。女性は「急性ストレス障害」と診断されて精神科に通ったが、守秘義務があるために自宅のある福島県では受診できず、仕事を休んで東京まで出る必要があったという。

この事件を受けて、これまで、証拠品として死体の写真などを見る必要があるかどうかは、裁判員になることが決まってから伝えられていたが、今後は裁判員に決まる前に教えられ、不安を感じたら断れることになった。

今回の変更で、少しは裁判員の心的外傷の被害が減るだろうが、こうした対策は小手先のものという印象がぬぐえない。

大川隆法・幸福の科学創始者兼総裁は裁判員制度について、2009年の段階で「おそらく、トラブルが続発し、一、二年たったら見直しが始まると思います」と指摘していた。

その理由として、まず、裁判員は専門家ではないのに、量刑にまで参加していいものかという点を指摘。アメリカなども裁判員制度に似た陪審制は導入しているが、陪審員が参加するのは有罪か無罪かを決める評決までにとどまっている。

また、裁判員に選ばれてしまったらその間は仕事ができないのでは、民間の経済活動を妨害してしまうという点も挙げている。

もともと裁判員制度は、重大刑事事件についての裁判にかかる時間を短縮するために始まったものだが、単にその負担を国民に押し付けているだけでは、まったくの改悪だったことになる。裁判員制度そのものを見直すべき時期に来ているのではないだろうか。(居)

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