21日投開票の参院選を控え、各地で立候補予定者による公開討論会が開かれている。6月30日に千葉県野田市で開催された公開討論会(主催:日本青年会議所)で論点の一つとなった「日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加についてのメリットとデメリット」に着目し、参加者の発言を紹介する(発言順)。この討論会の映像は同会議所のホームページ「e-みらせん」で公開されている。

■日本維新の会・花崎広毅氏

  • TPPで海外から安い商品やサービスが国内に入ってくることで、デフレが継続するのはデメリット。農家もダメージを受ける。食品添加物や残留農薬などの規制緩和で、食の安全性が脅かされる。
  • ただ、日本は資源が限られ、国土も狭い。これからも通商国家としてやっていくべきであり、TPP参加でマーケットを拡大すると、国内総生産が内閣試算では2.2~3.5兆円増加する。

■幸福実現党・松島弘典氏

  • 通商国家である日本が、貿易の大きな枠組みに入らない方が大きなデメリット。
  • 日本の農業の質は世界一だが、農耕地の1割を休耕にし、政府は補償も含めて1兆円ぐらい出し、農家を守って農業をつぶす政策をしている。TPPはこれを変えるきっかけになる。
  • TPPはアメリカ中心の中国包囲網になる。外交力の弱い日本にとって、アメリカの自由主義圏の中でやっていくことは安全保障上も非常に重要だ。

■日本共産党・寺尾賢氏

  • 東南アジアへの進出を考えている日米の多国籍大企業だけが、TPPでメリットを受ける。
  • デメリットとして、農業と地域経済が壊滅的な打撃を受ける。政府の試算でも食料自給率が27%まで下がる。農業産出額も3兆円失われ、関連産業含めて全産業で10.5兆円生産が減少する。医療でも、公的医療保険制度を崩すのではないかという懸念がある。

■みんなの党・寺田昌弘氏

  • 農業と医療は成長の可能性のある分野だが、今まで改革に手を付けてこなかった。TPPは、これらが成長産業となるよう構造改革をして、日本を変えていく契機になりうる。
  • (寺尾氏が挙げた)27%や10.5兆円といった数字はセンセーショナルだが、何を前提に試算するのか。農業の捉え方を変えて、素晴らしい農産物を積極的に展開していく方向に舵を切るきっかけになる。

■維新政党・新風・渡辺裕一氏

  • TPPのメリットとして、消費力が向上するのは間違いない。
  • だが、輸入食料品に依存すると、国内の農業が衰退する。このさき、他国の動向や、他国同士で争いが起こった時に輸入が制限されてしまう危険があるが、そのときに農業が衰退していたらどうなるかと考えると、TPPに反対せざるを得ない。

中国は自由貿易や知的財産の保護が不十分でTPPに参加できないため、TPPは中国包囲網として機能する面があるが、松島氏以外の参加者はTPPについて経済的側面しか見ていない。国際経済協定が軍事大国に対する包囲網として働き、安全保障上の意味を持つという総合的な視点こそ、今の日本には必要だ。(居)

【関連書籍】

日本の農業の質の高さについては

幸福の科学出版HP 『政治の理想について』 大川隆法著 (第3章)

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112

【関連記事】

2013年6月27日付本欄 【参院選】沖縄選挙区で公開討論会 唯一「県内移設」を訴える幸福実現党の金城氏

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6250

参院選 各党政策比較

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6267

【参考サイト】

日本青年会議所HP「e-みらせん」

http://www.e-mirasen.jp/