韓国・釜山地検の原子力発電所不正捜査団は20日、韓国水力原子力(韓水原)の本社事務所や発電所の本部など9カ所へ家宅捜索に入った。原子力発電所に納品された制御ケーブルの検査に不備が見つかった件で、韓水原幹部の関与が疑われているためだ。21日付ネット版中央日報などが報じた。

問題の発端は、試験成績書を偽造したケーブルが原発に納品されていたことが、5月末に明らかになったことだ。2012年に韓国の原発でトラブルが続いたため、原発の点検を徹底した結果、発見された。検察は、韓水原の下請け業者の元社員から、通常なら納品に50~60日間かかるところを10日間で納品するため検査方法を不正に簡略化してケーブルの試験成績書を偽造した、との陳述を取ったとも報じられている。

不正ケーブルは建設中のものを含む原発6基に納品されており、そのうち稼働中だった2基が発覚後に停止された。今月14日には、新たに16カ所で不正ケーブルが使われていることが明らかになっている。韓国の原発に納品された、こうした不正部品は、この10年間で1万900点以上に上るとも言われる。

評論家の三橋貴明氏は月刊「SAPIO」7月号で、韓国の原発問題についてこう指摘している。

「韓国は2011年9月、大地震に見舞われたわけではないにもかかわらず大停電を起こした。その後の報道で判明したのは、韓国の原発は国産比率が高いほど事故が多発しているという、ある意味で予想された真実だった」

韓国のように、部品が原因で原発事故が起きるのなら、徹底した調査と対応が必要だ。ただ、同じように「原発問題」が持ち上がっていても、韓国と日本ではレベルが違うことを忘れてはならない。日本では東日本大震災という「1000年に1度の地震」で福島第一原発の事故が起きたが、それは単に「津波による冷却装置の電源喪失」によるものであり、原発そのものは大震災に耐える安全性の高いものだった。この点が韓国とはまったく違う。

日本では19日、原発の新たな規制基準が設けられたが、これは1000年に1度の災害に対応するためのもので、検査だけでも半年かかるため、再稼働の条件としては厳しすぎる。日本の電力事情から考えれば、新基準を満たす努力はしつつも、一日も早い原発再稼働を優先すべきである。(居)

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