安倍晋三政権の「骨太の方針」が14日に閣議決定されたが、各紙の反応は「骨抜きの方針」などと手厳しい。中でも年金や高齢者医療など社会保障費の拡大に対する対策はほとんど無策。自民党政権の「アキレス腱」がここにも見えてきた。

「骨太の方針」とは、政権が進める財政・経済政策の基本方針のこと。小泉純一郎政権時代の2001年、官僚主導ではなく、首相官邸が政治主導で予算をつくるために始まり、毎年6月頃にまとめられる。民主党政権では取りやめたが、自民党政権が復活したため、4年ぶりに作成された。

今回の「骨太の方針」では、「基礎的財政収支の赤字(対GNP比)を2015年度に半減、20年度に黒字化」と、財政再建の目標を示した。だが、そのためにどうやって予算を抑え、税収を増やすかの具体策は示されていない。

これに対する各紙の反応は、総じて批判的だ。いくつか拾ってみると、

  • 財政再建の具体的な道筋を描いておらず、踏み込みの甘さは否めない。(読売)
  • 東京都議選や参院選を意識し、厳しい政策はことごとく外した。こうした「骨抜き」が逆に市場の失望を買い、株安を招いている。(朝日)
  • 安倍首相の決意と覚悟が伝わってこないことが一番の問題だ。(毎日)

特に産経の社説は、「逃げるな社会保障圧縮」と題して、社会保障費圧縮への具体策が何も示されていないことに対して強く追及しているが、明らかに安倍政権は「選挙対策」で社会保障費の削減・圧縮について避けている。

社会保障費は毎年1兆円ずつ自然に増えていく。今後も少子高齢化が進展するため、年金の保険料の値上げや給付額の削減、高齢者医療費の負担増は「待ったなし」なのだ。

だが、そもそも社会保障費の削減に手を付けず、ここまで危機的状況に追い込んだのは、歴代の自民党政権にほかならない。「ネズミ講」のような賦課方式の制度、つまり積み立てた保険金を本人に還すのではなく、そのまま高齢世代に横流ししていたことや、年金積立金を勝手に使い込みしていたことなど、自民党政権の「罪」は大きい。

つまり、有権者の多くを占める中高年層の票欲しさから手厚い社会保障を公約し、政府の借金を膨大にさせた責任は、歴代の自民党政権にある。安倍政権もまたその流れを汲んでいて、「痛みを伴う改革」を先送りしているところを見れば、もはや自民党政権に年金など社会保障改革を望むのはムリだろう。過去の罪を洗いざらい出したならば、自民党政権が崩壊しかねない大問題だからだ。

ならば、どうするか。幸福実現党が主張するように、「75歳まで働ける仕組みづくり」をして、長寿社会に備え、そもそも年金が不要になる人を増やすこと。そして、年金制度は抜本的に改革し、「積み立て方式、参加自由」とすることだ。

今の公的年金制度は「税金」と同じで、必ず保険料を納めなければならないが、本来の年金は、「自分が老後欲しいお金を、現役時代に積み立てておく」というのが趣旨のはずだ。自民党政権はこれ以上、国民にウソをついてはならない。(仁)

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