厚生労働省は5日、2012年に生まれた子供の数が前年から1万3000人減少し、過去最少の103万人となったと発表した。合計特殊出生率は1.41と2年ぶりに増加し、16年ぶりに1.4台を回復している。しかし、人口維持には「2.0」が必要であり、少子化と人口減が進んでいるのが実情だ。

厚労省の発表によれば、20歳代の出生率は昨年より1万6200人減少したが、35歳以上では8700人増えている。また、初産の年齢は平均が30.3歳と、前年の30.1歳を上回り、「晩産化」の傾向が強まっている。このことについて5日付日経新聞電子版では「第2次ベビーブーム期(71~74年生まれ)の世代である『団塊ジュニア』など30代以降の出産意欲の高さ」と分析している。

若い世代の出生率が減少している大きな理由には、経済問題がある。「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2011年)によれば、多くの夫婦の理想の子共人数が2.42人なのに対し、実際は「子供を増やさない」理由として最も多く挙げられたのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」であり、60%を占めている。

安倍政権の成長戦略では、女性が働きながら子育てがしやすいよう、保育所に入れたくても入れられない待機児童を減らすことを目指している。これを受けて厚生労働省は5月、全国の自治体に株式会社の保育所事業への参入を積極的に認めるよう通知した。保育サービスが活用しやすくなれば、仕事を続けながら子育てをする女性が増えることが期待できる。

さらには、教育費がかかりすぎる原因の一つである、学校と塾のダブルスクールを解消する必要もあるだろう。公立学校の教育レベルを高める取り組みをするほか、塾を学校として認めることで学校との競争が起こる。優秀な子供に育てることができれば、社会に出て有為な人材として活躍することができるだろう。

経済成長を実現し、個人の所得が増えれば、子供を育てる環境は整えやすくなる。それとともに、子供を産み、殖やすことが国を富ませるということを、広く国民に啓蒙する必要があるだろう。子供が産まれない国は人口が減り、衰退していってしまう。子供は家の宝であり、国の宝でもある。子を産み育てることの尊さを若いうちから学校教育でも教えることも大切だろう。(晴)

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