原子力規制委員会は15日の有識者会合で、敦賀原発(福井県)の2号機の直下にある断層を活断層だとする報告書をまとめた。規制委が活断層と判断すれば原発の再稼動は困難となるため、2号機廃炉の可能性が高まっている。
敦賀原発直下に活断層があるとする指摘は昨年の第一回会議からなされており、最初の会議では2時間で活断層と判断された。さすがにこの決定は拙速だと事業者側から反論があり、それ以降も規制委は会議を重ねたが、活断層ありきとする最初の見解を追認する形であったことは否めない。
そもそも、活断層で地震予測ができるわけではない。本欄でも紹介しているが1995年の阪神淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、2007年の能登半島地震、同年の新潟県中越沖地震、2008年の岩手・宮城内陸地震のいずれも活断層がないとされた場所での地震だった。
地震の恐怖を視覚化して見せることができる活断層探しは、地震学者の仕事として都合がいいのだろう。しかし、規制委は活断層について40万年前まで遡って判断することもあるとしており、あまりに対象が広すぎる。
40万年前に地震が起きた可能性をあれこれ考えて原発再稼動を判断できないなら、現実の害が大きすぎる。去年の夏、熱中症で病院に運ばれた人は全国で8千人に上り、死者も出ている。原発停止による節約ムードの中で、律儀にエアコン使用を自粛した高齢者などに熱中症患者が相次いだ。
今のところ、今年の夏は節電の必要はなさそうだが、電力の需給バランスを見通すのは難しく、老朽化した火力発電所の事故のリスクなどを考えれば、絶対に安心とは言い難い。また、気象庁の今年5月~7月の3カ月予想は、広い範囲で平年より気温が高めとしており、暑い夏になる可能性がある。クーラーの使用量も増えそうだ。同庁気象研究所は過去100年あまりの熱中症死者数を分析した結果、気温が1度上昇すると熱中症による死者が4~6割増えると分析している。やはり電力はたくさん供給できた方がよい。
地震学という狭い学問を原発停止の条件として絶対化していては、あまりにも害が大きい。地震学者は地震学の限界を知って、言葉を慎むべきだろう。そして、政府は一刻も早く原発再稼動に向け尽力すべきだ。(徳)
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